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〈朝鮮と日本の詩人 113〉大庭みな子

2009年12月07日 00:00 文化・歴史

米軍の侵略的本質の投影

ビイ玉の蒼い目の兵隊さん、

「長イ真珠ノ首飾リヲ下サイ。ワタシノ

オカアサンニ贈ルンデス」

売子

「手相を見せてください」

「ドウデショウカ。ワタシノ運ハ?」

「いくつですか」

「十八デス」

「人を殺すか、でなければ、人に殺される

かもしれませんよ」

運命ヲ変エル方法ハナイデショウカ」

「そうですねえ。なるべく、じっとしていらっしゃい。何もしないで、ひとりの時をなるべく沢山つくって、いろいろ考えるしかありませんよ。どうしてこんなことになったか。そうすれば、どちらもしないでもすむかも知れませんよ」

「ワタシハ チョウセンニ行クンデス」

「お母さんに贈る長い首飾りから真珠を一粒抜いて持って行けば、きっとお守りになりますよ」

売子は首飾りの留金をつける前に一粒の真珠を糸からはずして紙につつんだ。

「アサッテ行クンデス。ワタシトアシタ映画ニ行キマセンカ」

「ええ、ありがとう。でも、明日は用事があるんです」

「デハ、住所ヲ書イテ下サイ」

 

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