〈朝鮮と日本の詩人 69〉植村諦
2008年10月06日 00:00 文化・歴史「誰が俺の目を曇らすのか」
誰が俺の目を曇らそうとするのか
誰が俺の耳を覆おうとするのか
俺は何も彼も良く知っているのだ
此のアジアの突端に日毎に行われている
不正を、不義を、偽瞞を、圧殺を-
そしてその嵐の中に惨めにも
ふみにじられていく愛情の生活の様々を
それをかゝわりもなく捨て去って行く
旅人と思ってくれるな
今比の半島の南端に立って
澎湃とした海を眺めながら、俺はじっと堪えている
湧き上がって来るおのれの激情に
背後に感じる千万の血ににじんだ瞳の圧倒に-
同胞よ、目で見たことが行わずに居れるか