〈朝鮮と日本の詩人 68〉菊岡久利
2008年09月29日 00:00 文化・歴史朝鮮の火を燃やす仲間
(冒頭から33行省略)
わたしの知っている朝鮮の仲間たちは
平気な顔つきでいて
皆それぞれ
胸には朝鮮の火を燃やしている
屑屋をしている仲間も
鉄道敷設に沿って進む仲間も
皆
あの冷たい眼と焔の胸を所有する
だが今晩帝都のド真中
華麗のステージで
崔承喜さんの踊った
朝鮮風の舞踊を見て
美しいその人の描いた
かよわい線の中に
のどかなりし鶏林の原野を見
歴史を追懐し
豊かな自然の中の
労働の間
たのしかりし若者たちの恋を見
いろんな朝鮮を思い出すと
それが込み上げてきて
仲間たちのために
暗然泪ぐまないことが出来なかった
わたしは
わたしの仲間たちがそうであるように
崔承喜さんも
烈烈
焔の胸を所有し
朝鮮の火を燃やす仲間だといいと思う。