〈朝鮮と日本の詩人 12〉斉藤茂吉
2006年06月21日 00:00 文化・歴史斉藤茂吉(1882~1953)は、アララギ派の領袖伊藤左千夫に師事して歌人の道を歩んで、明治末の歌壇の転換期に自我解放を謳歌する奔放な歌風を創造した。1913年に刊行された処女歌集「赤光」は近代精神と鋭敏な色彩感覚を凝縮する表現をもって日本近代短歌の一到達点を画し、それは日本近代文学自体の代表的作品の一つとなった。以後、「あらたま」「つゆじも」他の歌集と、「童馬漫語」を初め多くの歌論集を上梓して歌壇の泰斗となった。日中戦争以後、軍国主義に迎合して戦争賛歌のような作品を発表し文学歴に瑕疵を残したが、1951年に文化勲章を受けた。