〈遺骨は叫ぶ 30〉東京・八王子浅川地下壕
2009年11月02日 00:00 歴史最盛期には4~6千人を強制徴用、戦争末期の相次ぐ落盤事故
東京駅からJR中央本線に乗り約1時間で高尾駅に着く。駅前からはビルで見えないが、高架の京王電鉄の高尾駅ホームからは西に金比羅山、南に初沢山が見える。この山の中に総延長で約10キロの地下壕がいまも残っている。しかし、この地下壕のことは地元の人もあまり知らない。それは「日本人が掘ったのではないから、地下壕の中に入ったものは、八王子の地元の人々でもあまりたくさんいない」(「武州八王子史の道草」)からだ。では誰が掘ったのか。朝鮮人たちである。
アジア太平洋戦争の頃、この地域は、東京都南多摩郡浅川町であった(現在は、八王子市高尾町)。町の9割は山林で、人口は約4千人ほど。織物、林業、農業などで生活をする静かな町だったが、突然地下壕を作る工事がはじまると町は一変した。