〈朝鮮史から民族を考える 22〉植民地期の朝鮮人史学者たち(下)
2008年07月07日 00:00 歴史学問の現実認識・参与の大切さ
震檀学会と朝鮮学運動
震檀学会は歴史学・民俗学・言語学・国文学など広い研究分野を対象にした朝鮮人の学術団体である。李丙燾を中心とする「実証史学」系の人々が主流を占め、「民族史学」系や一部の「社会経済史学」系の人々もこれに参加した。朝鮮学運動は34年に丁茶山逝去99年祭に際して「與猶堂全集」の刊行事業を進めたことから始まるが、日帝の民族抹殺政策に対抗して朝鮮文化の研究、保全をめざしたこの運動には、白南雲、鄭寅普を中心とした「社会経済史学」系と「民族史学」系の学者と一部の「実証史学」系の学者も参加した。これらのことから震檀学会と朝鮮学運動は幅広い人々を網羅した組織運動だったといえる。
しかし核心的な問題は、震檀学会には白南雲と鄭寅普が参加しておらず、朝鮮学運動には李丙燾が参加していないというところにある。震檀学会と朝鮮学運動の両方にまたがっている人々もいたが、各学派の中心人物たちは互いに対立的な関係にあったとみることができるのである。その理由は何だったのだろうか。