2018年W杯ロシア大会・アジア2次予選/グループH展望
2015年06月18日 10:40 スポーツ朝鮮、2連勝の好発進
2018年W杯ロシア大会・アジア2次予選が6月11日から始まり、朝鮮代表が2連勝を果たした。朝鮮代表が入ったグループを分析する。
国際大会の予選では組み合わせを決める場合、まずFIFAランキングによって参加国がポッド分けされる。アジア2次予選では5つのポッド中、イラン、日本、南朝鮮、オーストラリア、ウズベキスタンなどの強豪国がポッド1に組み込まれた一方、朝鮮はポッド4に入った。
ランクのポイントは国際試合や大会での結果によって変動するが、国際試合の機会が少ない朝鮮代表は必然的にポイントが下がる。ランクに実力が反映されないため、予選では実力が同等かそれ以上の国々と組を同じくするケースも少なくない。
強豪国とその他の国に実力差が見られる他グループに比べて、朝鮮代表(157位)が入ったグループHは、ウズベキスタン(73位)、バーレーン(108位)、フィリピン(139位)、イエメン(170位)など「くせ者」揃い。巷では「死のグループ」と呼ばれている。
同グループ1位の筆頭候補と目されるのはウズベキスタン。2010年W杯ではアジア最終予選まで、2014年W杯ではアジア第5代表を争い、2011年AFCアジアカップでベスト4に輝いた実績を持つ。朝鮮代表は過去に6回対戦して、今年1月のAFCアジアカップでの敗戦(0-1)を含めて2分4敗、得点2失点9と苦手としてきた相手だ。
今回の2次予選で朝鮮代表は、イエメンに1-0(6月11日、カタール)、ウズベキスタンに4-2(6月16日、平壌)で連勝し、好発進を切った。勝ち点6でフィリピンと並んでいるが、総得点数で上回りグループ首位につけている。難関のウズベキスタン戦を勝利で終えたことは大きな意義を持ち、今後の弾みにもなるはずだ。
同胞選手の活躍に注目
在日本朝鮮人サッカー協会の李康弘理事長が「まだスタートに過ぎない」と兜の緒を締めるように、残り試合は6試合ある。
第3節は9月3日、バーレーンとのアウェー戦だ。2006年と2010年W杯の予選でアジア最後の出場枠をかけて大陸間プレーオフに臨んだ同国は、その実力だけでなく日中気温が40度を越える気候を活かして対戦国を苦しめてきた。
サッカー後進の地と呼ばれてきたアジアだが、特に東南アジアでは近年国内リーグが活性化し、代表チームのレベルが徐々に上がっている。
今回、フィリピンがバーレーンに2-1、イエメンに2-0で勝利したのもその証左と言えるかもしれない。また積極的に海外に選手を輩出する一方、海外で生まれ育ったフィリピン国籍選手を勧誘しながら強化を図ってきた。決して格下と呼べる相手ではないだろう。
とはいえ若手選手が多い朝鮮代表がウズベキスタン戦で見せたような爆発力、そして大きな可能性を秘めていることは確かだ。平壌で行う試合に多くのサポーターが駆けつけ「圧倒的ホーム」で戦える地の利も強みと言える。実際に2戦連続で出場したJ1・川崎フロンターレのFW・安柄俊選手(25、東京朝高)は「(ウズベキスタン戦の)序盤の連続得点はサポーターの声援が選手の背中を押してくれたからこそだ」と語っている。
前述の2戦でJ2・V・ファーレン長崎のMF・李栄直選手(24、大阪朝高)はスターティングメンバーに選ばれ、「中心選手」としての働きを見せた。今回代表チームに召集された安柄俊選手、J2・水戸ホーリーホックのDF・金聖基選手(26、神戸朝高、朝大)も含めて、180センチを越える長身で技術やパワーを兼ね備えた同胞選手らがフィットすれば、さらなる戦力アップも見込めるはず。
J1・ベガルタ仙台のMF梁勇基選手(33、大阪朝高)、J2・横浜FCのMF安英学選手(36、東京朝高)らベテラン選手も虎視眈々と代表入りを狙っている。幾多の困難を切り抜けてきた豊富な経験も代表チームには欠かせないだろう。
来年9月から始まる最終予選には、各組1位の8チームと各組2位のうち成績上位4チームの計12チームが進むことができる。44年ぶりの本大会出場を果たした2010年W杯南アフリカ大会以来の「快挙」を目指す朝鮮代表の戦いぶり、同胞選手の活躍ぶりから目が離せない。
(李永徳)