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〈ひと・サラム・HUMAN〉東京中高美術教員/崔誠圭さん

2014年12月09日 15:13 文化

アートで世界と向き合う

原爆の図丸木美術館(埼玉県東松山市)で開催中(13日まで)の企画展「今日の反核反戦展2014」に「約束は破られた」「献花」の2作を崔誠圭出品した。前者はシュレッターで切り刻まれた約630リットル分の紙片を水で濡らし固めた小高い山の上の洞窟で、青い光に照らされたチマチョゴリ姿の女子生徒が「高校無償化」制度からの除外の不当さを身振り手振りで訴えるもの。映像で映しだされた少女の顔は次第に虐げられる他国や他民族の少女の顔に変化していく。「音声はない。国連で環境問題についてスピーチした12歳のセヴァン・スズキはじめアフガニスタンやインドで虐げられている少女たちの心の叫びをウリハッキョの女子生徒の思いと重ねた」。

もう一点は合作で、美術部の教え子3人と共同制作したもの。「テーマが反戦反核なだけに平和について考えた。そして『平和』はすでに死んでしまったのではないだろうかとの思いに行き着いた。花輪は『平和』に対する弔意を表すものでもある」。

作品は錆びついた花輪である。鉄板、金網、針金、有刺鉄線、廃材などを利用して作られた。「ある者は『積極的に平和を守るため』戦争を仕掛けている。平和が平和を殺す、そんなことを考えた」。

崔さんは今日も美術を通して子どもと向き合い、社会そして世界と向き合っている。

(潤)

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