〈そこが知りたいQ&A〉衛星打ち上げが騒がれているが
2012年04月06日 10:05 共和国平等認めない態度が問題
3月16日、朝鮮宇宙空間技術委員会は地球観測衛星「光明星3」号を4月12~16日の間に打ち上げると発表した。米国や南朝鮮、日本など敵対国は朝鮮の衛星打ち上げを「ミサイル発射」だと言いがかりをつけ、阻止しようとしている。衛星打ち上げの何が問題なのかQ&Aで見る。
Q. 朝鮮が打ち上げを予定している人工衛星について、日本の報道のほとんどは「長距離弾道ミサイル」と表記しているが。
A. 朝鮮は、今回打ち上げるのは実用観測衛星だと発表している。
ところが、敵対国の関心は衛星の「光明星3」号にあるのではなく、その運搬手段である「銀河3」ロケットにある。ロケットの発射技術は弾道ミサイルのそれと同じなので、朝鮮が発射するのは「長距離弾道ミサイル」だというわけだ。
朝鮮は、衛星の打ち上げがいかなる軍事目的ともまったく関係のない純粋に宇宙の平和利用のための科学技術事業であることを透明性をもって示すため、国際的な慣例を超越して、世界の宇宙開発機関の専門家とメディアの関係者が打ち上げの過程を参観できるよう招待した。
しかし、米国や日本の当局は専門家を送ろうとしていない。どうしても、人工衛星だということを認めたくないのだろう。
人工衛星だと証明されると、自衛隊などが「不測の事態に備えた迎撃態勢」をとる根拠がなくなる。
Q. 朝鮮の衛星打ち上げは国連安保理「決議」違反なのか。
A. 米国や日本などは、朝鮮の核実験を受けて09年6月に採択された「決議第1874号」を根拠に違反としているが、何の国際法的根拠もない。
宇宙条約は、宇宙空間の探査・利用はすべての国、全人類が自由に行うことができると定めている。
実際に、世界の数多くの国が宇宙空間に各種の衛星を打ち上げたが、それが国連の舞台で問題視されたことはない。軍事衛星を含む各種衛星を打ち上げて世界の平和と安全を脅かしている米国の打ち上げも問題視されたことはない。日本、南朝鮮の衛星打ち上げも同様である。
この「決議」のとおりなら、朝鮮だけが衛星を打ち上げてはならず、宇宙利用の権利を永遠に行使できなくなる。
「決議」は、宇宙の開発と利用での明確な2重基準であり、朝鮮の衛星打ち上げの権利を否定する米国とそれに追従した国連安保理の陰謀の産物で、これ自体に問題がある。
Q. 米国は2.29朝米合意違反だと主張している。
A. 2.29合意で、朝鮮側は「実りのある会談が行われる期間、核実験と長距離ミサイルの発射、寧辺のウラン濃縮活動を一時停止」することを約束したが、平和的な衛星打ち上げまで停止することは約束していない。
朝鮮外務省スポークスマンによると、昨年から3回にわたる会談で朝鮮側は、平和的な衛星の打ち上げが長距離ミサイルの発射の一時停止に含まれないということを終始一貫して主張した。その結果、2.29朝米合意には「長距離ミサイル発射の一時停止」と明記された。「衛星の打ち上げを含む長距離ミサイルの発射」「弾道ミサイル技術を利用した打ち上げ」などという文言ではないのだ。
ちなみに、2000年10月に発表された朝米共同コミュニケには、「ミサイル問題と関連した会談が続く間、(朝鮮は)すべての長距離ミサイルを発射しない」と記されている。ここで、「すべての長距離ミサイル」とは人工衛星も含まれると思われるが、今回の合意で一時停止するのは「長距離ミサイル」に限っている。
Q. 今後予想される展開は?
A. 米国は朝鮮の衛星打ち上げ計画発表に対して、早速、公約した食糧支援を中止すると一方的に発表した。
これについて朝鮮外務省スポークスマンは3月31日、「2.29朝米合意の核心事項の違反行為」だと批判した。
米国の合意違反に対する対抗措置として、朝鮮が一時停止するとした核実験、長距離ミサイル発射、寧辺のウラン濃縮活動を再開させることは十分に考えられる。
ただ、スポークスマンは「米国の誤った選択によって招かれる結果の深刻さと重大さについてまだ論じたくない」「米国が今からでも主権国家の平和的な衛星打ち上げを認める勇気を持つことを願うだけ」と述べるにとどめている。
2.29合意で米国がうたった「自主権尊重」「平等精神」の真意が試されている。今後の展開は、衛星打ち上げに対する米国の対応にかかっている。(姜)