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〈朝鮮民族の美 26〉新羅の牛(5~6世紀、新羅土器)

2012年05月24日 14:33 歴史

まことに堂々たる姿である。胴はあくまで大きく、それをしっかり大地を踏みしめる四肢が支える。太く伸びた首に支えられる頭はむしろ小さく感じられる。

東京国立博物館小倉コレクション

天空を仰いで立つこの牛の姿に、われわれは古代新羅人の剛健な気性を見るのである。

三国時代の新羅の古墳から多く出土する新羅焼は、高い温度で固く焼きしめられ、ほとんど金属的な感じを与える。多くの壺や高坏に混じって、まれに馬に乗る人、歌い踊る人などや、馬、牛、亀や蛇など、当時の人々に親しかった動物たちが、古代人のナイーブで鋭い感覚に捉えられて出現する。

これらの土偶の中でも、この牛は現代の彫刻家の顔色をなからしめるほどの出来栄えである。

この写真から牛の雄大な巨像を想像される人もいると思われるが、実はこれは高さ十数cmに過ぎない。古代新羅人の造形能力に驚くのである。これは日帝時代、大邱電気KKの社長であった小倉武之助の収集になる朝鮮文化財の大コレクションの一つ。

1944年前後、日本の敗戦を見越して、密かに日本に運ばれ、韓日国交回復交渉の時の追及を「知らぬ存ぜぬ」でやり過ごし、その後、静かに東京国立博物館に「寄贈」された。読者も、その東洋館の展示を一度ご覧になるよう、お薦めしたい。

(金哲央)

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