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〈それぞれの四季〉ある人との対話/韓梨恵

2014年08月19日 16:41 文化・歴史

民族意識には、二つの種類があると思う。一つが即自的なもので、規範や思想に意識的・無意識的に内在しているもの。もう一つが対自的なもので、私・私たちを攻撃する側からの明確な他者化ゆえに、誇示せざるをえない二次的なもの。

前者は、育った環境に大きく規定されるため、行動に際しては「自主」的体現になる。他方後者は、外部からの抑圧に規定されるため、「自主」だけでなく、「義務」的体現をも併せ持つと思う。私は、後者の民族意識は本来必要のないものであり、後者の意識がある限りは、民族運動を続けねばならないと思っている。

先日、この話をした際、ある方が次のように話した。「韓さんのいう民族意識がなくなるには、地球に宇宙人が攻めてくるしかないと思います」。私はその場で考えこんでしまった。 その方は、「対自」意識への対応として「宇宙人」を持ち出したのだと思うが、おそらく私が話した民族意識については理解していなかったのだと思う。そしてこの無自覚さ自体が、宗主国の特権とも言える「相対化」主義の根源なのだと思った。 一つの対話から、「ある方」の認識構造を垣間見た。「運動を続けなければならない」限り、影響を与えるべく他者の認識構造を理解し、その上で行動することが、必要不可欠だと改めて感じている。

(大学院生)

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