木暮雅寿さんと東京第3初級児童のふれあい
2014年07月28日 10:42 民族教育「障害者、怖くないでしょ?」
6月19日、東京・板橋区の東京朝鮮第3初級学校に白杖をついた木暮雅寿さん(38)が訪れた。校舎から顔をのぞかせていた子どもたちは彼の姿を見つけると「木暮さんが来た!」「こんにちは」「アンニョンハセヨ」と声をかける。
全校児童が知る「木暮さん」は視覚障害者だ。子どもたちが毎日利用している東上線「中板橋」の駅を東京都視覚障害者支援センター(新宿区)に通うため利用していた。
4年ほど前、糖尿病が原因で視力を完全に失った木暮さんは「最初は外出するのが怖かった」と言う。センターからの帰宅途中、道に迷い自分の家がどの方向か尋ねたところ「あっち」と言われ途方にくれたこともある。また、1人で出歩くなと見ず知らずの人に叱られたこともあると言う。
そんな中、「中板橋」の駅で1人の少年が声をかけてきた。東日本大震災があった年の8月のことだった。その後、子どもたちの「声がけの輪」は次第に広がっていった。しかし、目の見えない木暮さんにはそれがどこの子なのかわからなかった。ある日、初めての所へ出かけるとき、一緒にいたガイドヘルパーさんが朝鮮学校の子だと教えてくれた。
「おはようございます」「気をつけてね」という子どもの声を聞くと「今日も外へ出てきて良かった」と思えるようになった。「時には1年生くらいの小さな女の子がか細い声をかけてくれることもあってね。そんな時はもう涙が出そうだった。就職活動のためスーツを着ていると『今日はいつもと違う、カッコいいじゃん!』と声をかける子どももいた」と嬉しそうだ。
今春、就職先が決まりセンター通いも終了となった。3月6日、子どもたちに感謝の気持ちを伝えたくて木暮さんは学用品を持って朝鮮学校に訪れた。