苦労を分かち合った兄を悼む/佐藤知也
2014年04月05日 16:49 文化・歴史「平壌は私たちの永遠の故郷」
佐藤公也は私の2歳年上の唯一人の兄である。
その兄が昨年12月に突然亡くなった。全く突然である。享年84。
姪(兄の長女)から電話が入って「父が昨夜遅く急死しました」と聞いたとき私は思わず「えっ」と絶句して次の言葉を失ってしまった。
僅か2か月前に名古屋で開いた「平壌中学同窓会全国総会」で会長に選出され、元気に就任のあいさつをしたばかりである。また兄は一昨年10月に平壌郊外の日本人墓地―「龍山墓地」にわれわれと共に出かけて墓参を行い、16人の墓参団の顧問役として立派に職責を果たしてくれた。
そのときも7日間の日程を軽々とこなしていたではないか。その兄が何故? と思うのだが、義姉によると数年前から心臓の弁に異常があって用心はしていたという。急な発作が起きたのかも知れないが本当に残念無念の気持ちとやり切れない思いで一杯だ。
とくに私にとっては、もうこれから兄と平壌時代のことを語り合うことができないので心にポッカリと穴が開いたような空虚な気分である。