公式アカウント

<ものがたりの中の女性たち100>「物乞いになり野垂れ死んでもいい」―黃鳳の妻

2026年04月13日 14:49 文化・歴史

あらすじ

喪服

西江(ソガン)に住む船乗り黄鳳(ファンボン)の妻は、夫の船が嵐に沈んだとの報を受け、喪服に身を包み葬儀を行う。その後、三年経ったある日、人づてに夫からの手紙を受け取る。漂流の果てに中国の某地、某城に流れ着き、今はそこの民家に身を寄せ、下働きをしていると書かれている。驚いた妻は、涙ながらに夫を探しに中国に行くことを心に誓う。村人は、国境を超えた者は例外なく刑罰を受け、もし国境を越えたとしても婦人が万里を歩くことは絶対に無理だと説き、路傍の骸になるだけだと諭すが、彼女の決意は固い。生きて戻れないと皆に言われても、彼女は旅立つ。密かに鴨緑江を渡り中国に入り、ぼろぼろの衣服に髪はぼさぼさ、顔は汚れ、裸足で物乞いをしながら、1年かけて夫がいるという江南を目指し、海辺の町で再会するに至る。ついにふたりは帰国の途につき、娘を授かる。江南で得た娘という意味で、「江南徳(カンナムドク)(得)※徳と得の音が似ているため」と名付ける。村人は、夫を伴って奇跡的に帰国を果たした黄鳳の妻を、まるで物語の中の人のようだと、「黃券中人」と呼ぶようになる。

第100話 「夫を探して中国へ」

「夫を探して中国へ」は、漢文野談集「於于野譚(オウヤダム)」(※)収録の作品。

「於于野譚」は人気があったようで、