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〈トンポの暮らしを支える/こちら同胞法律・生活センターです!68〉共同親権の施行後、何に注意する?

2026年04月09日 07:00 寄稿

離婚後の共同親権を可能にする改正民法が本年4月1日に施行され、離婚の場面で、共同親権か単独親権かを選べるようになりました。制度が動き出した今、当事者が特に注意すべき点をQ&Aで整理します。

Q 改正後、離婚後の親権はどのように決まりますか。

A 父母は、離婚時に、子の親権者を父母の双方(共同親権)とするか、父母のいずれか一方(単独親権)とするかを定めることになります。父母の協議(必要に応じて調停)で定めるのが基本で、協議・調停が調わない場合は、裁判所が、子の利益の観点から、単独親権とするか共同親権とするかを判断します。

法律上、単独親権・共同親権のいずれか一方が原則(例外)となるかは定められていません。

Q 裁判所は、どのような基準で、単独親権か共同親権かを判断しますか。

A 裁判所が判断する際には、子の利益のため、父母と子との関係、父と母との関係その他一切の事情を考慮します。つまり、これまでの監護の実態、子の生活の安定、父母が協力して意思決定できる関係にあるか等を含めた事情を、総合的に考慮して判断します。

ただし、次の①~③の事由がある場合は、必ず単独親権としなければならないとされています(いわゆる「必要的単独親権」)。

①父又は母が子の心身に害悪を及ぼすおそれがある場合(例:過去に虐待があった場合等)

②父母の一方が他の一方から暴力等を受けるおそれの有無、親権者の定めについての協議が調わない理由その他の事情を考慮して、父母が共同して親権を行うことが困難である場合(暴力等には、身体的DVだけではなく、精神的・経済的・性的DVも含まれます。)

③その他、父母の双方を親権者と定めることにより子の利益を害する場合

このように、安全面や協議の実効性に重大な問題があるときは、子の利益を最優先し、単独親権とされます。

Q 共同親権の場合、すべての事項を共同で決める必要がありますか。意見が合わない場合はどうなりますか。

A 共同親権の場合でも、子に関するすべての事項を、共同で決める必要があるわけではありません。

まず、身上監護に関する日常の行為については、一方の親が単独で決定することができます。例えば、食事や服装の決定、日々の学校との連絡、短期間の観光目的での旅行、心身に重大な影響を与えない医療行為、通常のワクチン接種、習い事の決定等です。子の生活の中で繰り返し生じ、かつ子に重大な影響を与えないものが、日常の行為とされます。

また、子の利益のために急迫の事情があるときも、一方の親が単独で決定することができます。急迫の事情とは、父母の協議や裁判所の手続を経ていては適時に親権を行使できず、その結果として子の利益を害するおそれがあるような場合を指します。例えば、緊急の医療行為を受けさせる必要がある場合や、入学試験の結果発表後に入学手続の期限が迫っているような場合等です。

一方で、転居、進学先の決定、子の心身に重大な影響を与える医療行為、子の財産管理等のように、子に重大な影響を与える事項は、原則として共同で意思決定する必要があります。

こうした事項について、父母の協議が調わない場合に備え、施行後は、特定事項について、裁判所が親権行使者を指定する手続が用意されています。この指定は、裁判所の手続によるもので、私的文書(公正証書を含みます)で同様の指定をすることはできません。

したがって、共同親権の場合には、住まい、教育、医療等、意見が割れやすい事項について、できる限り具体的に取り決め、期限がある局面では、早めに協議・手続の準備をすることが重要です。連絡手段や協議の期限をあらかじめ決めておくだけでも、紛争の長期化を防ぐ助けになります。

Q 施行前に離婚したケースにも影響がありますか。

A 施行前に離婚して単独親権となっている場合、施行によって当然に共同親権に変更されることはありません。

もっとも、施行後は、親権者の変更等に関する手続が整理されており、個別具体的な事情(父母の一方が子の養育に関する責任をこれまで十分に果たしてきたか、父母相互の人格尊重・協力義務を遵守してきたか等)に即して、共同親権への変更が認められる場合もあります。

Q 在日同胞にも影響がありますか。

A 在日同胞であっても、日本で離婚し、または日本の裁判所の手続が関係する場面では、今回の改正の影響を受けることがあります。離婚(親権)については、国際私法上、夫婦の本国法が異なる場合、夫婦の常居所地(相当期間居住している場所)法が適用される場面があるからです。

例えば、それぞれ朝鮮法と韓国法を本国法とする夫婦が共に特別永住者として日本に居住している場合、その夫婦の離婚(親権)については、日本法が適用されます。また、夫婦の一方が日本に常居所を有する日本人であるときも、離婚(親権)については、日本法が適用されます。

したがって、これらのケースについては、今回の法改正の影響があり、離婚手続を進めるにあたっては、施行後のルールを前提に検討する必要があります。

適用される法律や手続は、個別事情によって異なるため、不安がある場合は早めにセンターの専門家に相談してください。

(康仙華、弁護士、同胞法律・生活センター相談員)