〈学美の世界 82〉「再会」願う来場者の声/三谷昇
2026年02月28日 07:30 寄稿学美展を山陰の地で開催し始めたのが2009年春の第37回。それから16年が経ち、昨年12月の第52回鳥取展で18回目を迎えた。山陰展は、鳥取・島根の両県の各都市で開催してきた。鳥取市での開催は、5年ぶり4回目であった。山陰展は、在日朝鮮人と日本の市民が協力して開催してきたが、今回は特に鳥取の大学生たちが実行委員会の一員として多く参加してくれた。実行委員会は過去最高の50人に達し、作品展示作業や朝鮮学校の美術教員・高級部生との交流会に参加してくれたことで、「学美の持つ力」「つながり」がいっそう強固になったと感じた。
私たちは、来場者の感想を冊子にしてまとめ、各地の朝鮮学校、総聯本部に送っている。その感想集の中にこそ、山陰の地で学美展を開く意義と成果を感じている。今回特に印象深かった感想を中心に紹介したいと思う。
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●私は今回初めて学美に参加しました。先輩の卒論を読んだうえでの参加でしたが、実際にさまざまな作品を見たり解説を聞いたりすると、想像と全然違いました。
多くの先生方がおっしゃったように、私が今まで習ってきた美術は「上手に描く」ことが重視されているように感じます。実際上手な人が賞に選ばれていました。また、自分の心を表す作品を私は描いた覚えがなく、日本の学校教育の枠にうまくはまってしまっていました。
学美で出展された初級部から高級部までの学生さんの作品の中には、余白さえ自分の表現として用い、背景や風景、物体一つひとつにもそれぞれ感情が見える部分が多くありました。(中略)美術はこういうものでもあると決めつけない、真の自由であるということに気づかされました。これらの作品がプロ芸術家の描いた作品のように感じたのは、自分を自由に表現しているからであり、芸術家にもそのような作品が多いからだと思います。
他にもありますが、非常に多く気づきを得ることができました。参加できて本当によかったです。(10代・学生)
●生命や人生をまるごと感じること、生活の中から想いと祈りを立ち上げ、心を形に変えること、そうして誰かとつながり、拡がることを、久しぶりに体感しました。
学美の世界が私たちに問いかけてくれることは、「日本社会」の教育の中で鍛え、育んでいくことの少ない人間の力を駆動させてくれるものだと、改めて感じました。
アート美術を通じた在日朝鮮人との市民交流が進むことで、「私たち」と「かれ、かれら」の分断が深まる二項対立の世の中の流れを、想像力の世界で通じ合いながら変えていき、社会が変わっていくことを強く願います。そうした出会いによって、「マジョリティ」の思い込みが変わる瞬間に起こっている何かが、次の社会や未来を変えていく力になると信じ、できることに取り組みます。
学美図録の出版、本当に楽しみに応援します。(40代・市民)
●毎年この美術展に来させていただいています。
この度、美術作品を見ると色彩がとても明るく元気があるように感じました。それから題名がとてもユニークだと思いました。題名が面白いということは着眼点が素晴らしいのだと思います。私たち大人では考えつかない発想で楽しく観覧させていただきました。(略)ここに来ると、このような素敵な絵を描ける子どもたちの未来が絵のように輝ける社会にしていくことが、大人の責任なのだということも実感します。
ずっとこの美術展が続きますように。(60代・市民)
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今年の秋に学美50周年記念の画集が発刊される。現在、発刊のためのクラウドファンディングが始まっている。「年に1回の展覧会ではなく、年中家庭の中で学美と出会う」が私たちのスローガンである。画集を手にする時が待ち遠しい。
来場者の多くが、「また、次の学美に会いたい」と言われる。そのためにも、朝鮮学校で「学びたい、学ばせたい」と願う同胞の人たちと共に、日本政府に対し一日も早い「無償化実現」を求める取り組みをさらに進めていくことを誓った鳥取展でした。
(在日朝鮮学生美術展山陰地区実行委員会・世話人)

