公式アカウント

<ものがたりの中の女性たち98>「ご自愛ください、ご自愛ください」―少女某

2026年02月11日 09:00 文化・歴史

あらすじ

ソウルの両班の家門に生まれた19歳の沈生は、姿が美しく、風情がある。ある日、体の大きな婢が、紫の絹で誰かを包み背負って歩いていた。それは女性に違いなく、後ろを幼い婢が赤い絹の靴を持って追いかけている。興味が湧いた彼は後を付ける。橋を渡るとき一陣の風が吹き、紫の絹が半分ほどまくれ上がり、美しい少女の姿が見える。桃色の頬に柳のような眉、黒曜石の瞳に赤い唇、薄緑の上着に紅いチマ。一見して絶世の佳人に違いない。少女も婢の背中越しに、美青年の姿を見ていた。草笠を被り、晴れた海のように青い衣服を着け、婢の右に左についてきては、絹越しに覗き込む。ついにはふたりの目が合い、驚いた少女は頭まで絹を被り、婢をせかして行ってしまう。後を追い、小公主洞(ソコンジュドン)のある屋敷に入って行くのを確認し、隣家の老婦人に誰かと聞いてみると、戸曹計士(ホジョケサ)を定年退職した中人の家で、16、7歳の未婚のひとり娘がいるという。