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〈留学同80周年特別対談〉留学同活動と進路選択/教員・梁知世×専従活動家・柳優衣

2026年02月16日 07:34 総聯

昨年9月に結成80周年を迎えた在日本朝鮮留学生同盟(以下、留学同)は、これに際して、留学同活動の現住所や今後のあり方を探るため現役学生や卒業生の対談を企画した。最後となる今回5回目の対談のテーマは留学同活動と進路選択。【留学同中央】

活動の中で様々な気付きを

梁知世さん(左)と柳優衣さん

 

梁知世:留学同大阪、大阪教育大学教育学部卒業。2025年4月から母校である大阪中高で教鞭を執る。数学、化学教員。吹奏楽部を指導。

柳優衣:留学同東海、静岡デザイン専門学校卒業。2025年4月より専従活動家、留学同東海副委員長兼組織部長として活動。日本学校出身。

 

-留学同活動で進路を考えた瞬間は?

柳:留学同でキャリアコンサルタントを取得しているイルクン(専従活動家)とキャリア形成を考える面談の中で、「自分がどう生きるのか」、「本当にやりたいことは何か」と考えを深めていくと、それまで念頭にあった就職先が本当に在日朝鮮人のためになるのかと思い始めた。

そんな時に2023年のトルパデモ(留学同と日本人学生などで行った関東大震災時朝鮮人虐殺の真相究明を訴えるデモ)があった。正直めちゃめちゃ怖かったけど、こうやって声を上げないと気付かれないんだ、逆に言うと大人数で声を上げることで世間の注目を集められるんだ、だから運動には人を集めなくてはならないということを感じた。

また、虐殺現場を歩くフィールドワークでは、自分が当時ここにいたら殺されていたかもしれないとひしひしと感じた。同時に、今でも在日朝鮮人が似た状況に追いやられていて、自分はそんな状況に怯えていかなきゃいけない人間の一人なんだと感じて…。そんな状況を最前線で打破し、自分と同じように恐怖を感じる学生たちをサポートし、運動の場に人々を巻き込むことで「在日朝鮮人のためになる何か」をできるのはイルクンしかないと思い始めた。

梁:私もあの日のデモは印象に残っている。

実際に大人数が集まって声を上げてようやく伝わるか伝わらないか、という状況に立った時、自分たちが団結する必要性を感じた。あの日は約200人集まったけど、日本各地から意識ある留学同の学生、日本人学生が集まっても、たったこれだけとも思った。朝高時代から若い力が必要だと散々言われてきたけど、こういう場に立って初めてちゃんと実感できたしもっと人を集めないければと思った。

学生時代の梁知世さんと柳優衣さん

柳:それに留学同では常に自分自身が問われるんだよね。

梁:そう。何をするにしても「知世はどう思う?」って。

柳:ベースにあるのは「歴史性」だよね。自分が今なぜここにいるのかを考える時、先代たちが紡いできた苦難の「歴史」の上に自分自身が立っていることをしっかり受け止めないと。

梁:そんな意識がなかった頃は、大学で学ぶ日本の友だちに自分について曖昧に答えていた。むしろ「韓国語」をしゃべれることをチヤホヤされて「なんや、生きやすいやん」って勘違いしていた。

今思うと、それって向こうも単に深く踏み込みたくないだけで、本当は無関心だったんじゃないかな。もし私が留学同に出会ってなかったら日本の学校で教員をしてたと思うけど、そこで出会った学生には「ありのままで生きたらいいよ」とか言いながら自分が生きてきた全てのことは歴史修正のように無かったことにして生きていたかも知れない。

あと、朝高を卒業する時には「いい大学に行くべき」みたいな日本社会の「当たり前」に何の疑問も抱いてなかった。「同胞社会のためになりたい」と言っても、その裏には確実に「いい大学に行きたい」みたいな作られた思いがあった。それに気付かせてくれたのも留学同だ。

柳:私もそんな社会に対してずっとモヤモヤを感じていたし、自分が日本人とは違うと思っていたけれど、分かってくれる人を求めながらも日本社会に迎合していた。

私が留学同を通じて一番変わったと思うのは「自分が行動を起こすことで変えられるものがある」と考えるようになったこと。もし留学同に出会わなかったら、専門学校を卒業してなんとなく与えられた仕事をやっていくだけになっていたと思う。人に合わせるばかりで自分のしんどさの意味にも気付かないまま、本当に「自分の人生」と言えるのかわからない人生を歩んでいたと思う。社会に対して漠然とした不満を持っているけど、でも変える方法もわからなくてどうしようもなくて。

北海道でのフィールドワーク(24年8月)

-今の事業について

柳:そう思うと今は本当にやりたかったことができていると思う。

そして専従活動家として、大学生世代の在日朝鮮人が集まる場をどう作っていくか、学生たちが民族と出会い、社会の見方を身に着ける場をどう作っていくか、本当に責任を感じている。

「SNSネイティブ」世代が主流となり、実際のコミュニケーションがなくても「幸せ」に生きていけるんじゃないかと考える学生が増えてると思う。そんな中でどうやって「民族が大事だよね」って言えるかのか、右傾化するSNS空間で気付かないうちに流されていく学生たちをどう引き留めるか日々奮闘している。

梁:日々、難しいことがあるけど学生たちが本当にかわいくて。同時に学生一人ひとりの青春の時期、一番悩む時期を預かっていることに大きな責任も感じている。

学生たちには自分が留学同でそうだったように、言葉だけでなく、実際に身をもって体験して様々な気付きを得て欲しい。だから体育大会を準備する時も、クラブ活動で月ごとの目標を立てる時も、部室の掃除をする時も「何のために」そうするのかを考えさせるようにしている。そして、学生たちは教員の姿をしっかりと見ている。いつも見られていると自覚して学生と一緒に考え続ける教員でありたい。

-二人の関係について

柳:私たちの代は横の繋がりが強くて、今でも地域を超えて同世代で集まる。留学同の同世代とは会うたびに学生の頃のように討論するよね。

梁:優衣に会うといつも「知世は最近どうなの?」って聞かれるけど、優衣の言う「どう」は「忙しくて寝られない」とかそんなんじゃなくて「自分がすべきことをちゃんと出来ているのか」っていう確認なんよね。その度に気が引き締まるし、会えない期間も「絶対に優衣は東海で頑張っている」って確信してるから、私も頑張らなきゃって思える。

-進路選択に悩む後輩に一言

梁:私自身、留学同での学びがなければ今の自分はないと思う。どう生きるかを追求し本気で取り組んで欲しい。実際にはめちゃくちゃ忙しくて「もう無理!」となることもきっとあるだろうけど、やればやるほど得るものも多く、その中には卒業後も語り合えるトンムや尊敬するイルクンもいるはず。頑張ってほしい。

柳:留学同活動の中で、自分が周りに流されやすい人間だと気付けた。それは誰もが同じだ。なので卒業までに、自分がこのままでいいのかと深く考えるタイミングを作ってほしい。ぶれることなく自分のための進路選択してくれればと思う。

知世、私たちもこれからも頑張ろう!

梁:うん、頑張ろう!

(朝鮮新報)