朝・日大学生らが文科省への要請 / 朝鮮学校への「高校無償化制度」適用を求め
2025年12月22日 07:21 権利 民族教育去る10日に「日本と朝鮮の歴史に向き合い、植民地主義に反対する日朝青年学生全国ネットワーク-トルパ」(以下、「全国ネットワーク-トルパ」)が文部科学省への要請行動を行なった。
「全国ネットワーク・トルパ」が文部科学省への要請を行なうのは今回が初めて。

朝・日大学生らが朝鮮学校への「高校無償化制度」適用を求め,文科省への要請活動を行った
提出した要請書は11月30日に行なわれた「全国ネットワーク-トルパ」結成集会で採択された『朝鮮学校への「高校無償化制度」適用を求める声明文』を基にしたもので、文部科学省初等中等教育局修学支援プロジェクトチーム担当者が対応した。
要請でははじめに、「全国ネットワーク・トルパ」の団体趣旨とどのような問題意識を持って要請に来たのかを説明し、その後参加した大学生3名による要請書の朗読があった。
そこでは、官民問わず排外主義がはびこっている日本社会の現状について述べ、現行の「高校無償化制度」からの朝鮮学校除外や新たな「高校無償化制度」からの外国人学校除外は、このような社会状況を日本政府が公式的に認めることと同義であると主張し、▶日本政府が、国連人種差別撤廃委員会をはじめとする国際機関からの差別政策是正勧告を受け入れ、民族教育を行なう教育機関としての朝鮮学校の意義を認めること、▶朝鮮学校を排除するために政府が執った手法の違法性を認め、朝鮮学校に通う子どもたちへの教育権を保障し、在日朝鮮人の民族的権利を保障することを強く求めた。
また、植民地支配責任から逃れようとする日本政府の態度が在日朝鮮人をはじめとした外国人に対する差別感情を温存し、「高校無償化制度」から朝鮮学校を排除してきた政策がその差別感情を深め、ヘイトスピーチやヘイトクライムがより深刻化している原因だと主張。このような視点から、日本政府に対して、高校無償化制度からの朝鮮学校除外をはじめとする朝鮮人差別政策を是正し、在日朝鮮人の民族的権利を保障することを求めた。
要請書朗読後、学生やトルパ事務局メンバーら4人が意見陳述を行なった。
10月に行なわれた全国巡回展で実行委員を務めた伊集院隆史さん(明治大学2年)は、関東大震災時の朝鮮人虐殺は官民が結託した形で行なわれたと強調し、それから102年経った今もなお、国家や民間がその史実をわい曲している現状について述べた。そして日本が戦後責任を負わず、むしろ排外主義がはびこる社会を作っており、朝鮮学校に関しては、国家が植民地支配責任を履行する第一歩として関わるべき問題であるにも関わらず、現在においても正当な権利を保障しておらず、周縁化している国家の責任こそが問われるべきであると主張した。
神奈川県の朝鮮学校出身であるトルパ事務局メンバーは、「植民地宗主国で生きている自分たちが奪われてきたものを取り戻そうとしている」とし、「朝鮮人が朝鮮人として当たり前に生きて行くための権利を常に要求している」ことを強調し、「ただの担当者ではなく、共に変えていく一員となってほしい」と述べた。
その他、外国人学校の外国人支援策として、所得に応じた形の別の支援策について現時点でどのような議論がなされているのかについての質問があった。
要請に参加した水上建さん(明治学院大学4年)は、「はじめて要請に行き、制度を根拠に不条理を正当化する文科省の姿勢を間近に見て、理不尽さと強いやるせなさを感じた。自分の所属する社会が、排外的な論理を当然とするのではなく、過去・現在の加害責任を認め、差別を是正し、生きやすい社会になるように、自分に出来ることを考え、行動していきたい」と力を込めた。留学同東京に所属する琴真芽さん(上智大学4年生)は、「職員は同じ言葉を繰り返すばかりで、差別的な制度に向き合い、見直そうとする姿勢は感じられなかった。その機械的な対応に怒りを覚えた一方で、排外主義が制度として固定化されている現実を改めて突きつけられた。だからこそ沈黙せず、権利を得るためにこれからも声を上げ続けたい。」と決意を新たにした。
(朝鮮新報)