財政健全化に向け一歩前へ/学校運営に関する経験交換会
2025年12月20日 08:00 民族教育パネルディスカッションで
民族教育中央対策委員会が主催する第2回学校運営に関する経験交換会(12、13日)の2日目は、1部で学校運営に関するデータ分析を行ったうえで、2部で「学校運営正常化のための経験」と題するパネルディスカッションが行われた。学校運営を一歩前へ前進させるヒントとなる各地での貴重な経験が共有された。その内容を紹介する。

朝鮮大学校創立70周年記念事業実行委員会事務局の宋明男次長の司会のもと、各地の代表5人が登壇し、収益事業、児童・生徒募集事業、補助金獲得事業、一口運動拡大の経験について発表した。
一般的に学校の収入は、①学費、②補助金、③寄付金、④事業収入などとされるが、生徒数が少なく、公的助成からも排除されている例が少なくない朝鮮学校は、日本学校で収入の大部分を占める学費と補助金の額が小さい。そこで重要な収入源になるのが施設貸し出しなどの収益事業や一口運動をはじめとするクラウドファンディング(CF)などの寄付金事業だ。
パネルディスカッションではまず中央教育会の李龍浩副会長が、教育会の3大重要事業、すなわち常任理事会の強化、教育条件と環境の整備、民族教育権を擁護・獲得について説明し、各地での財政事業や収益事業、対外事業などについて概略的に紹介した。とくに今年と来年、創立周年を迎える学校が多い中で、周年事業で果たすべき教育会理事たちの役割について述べた。

山口初中教育会の金慶成会長が、昨年の経験交換会を機に取り組んだ収益事業について述べた。
金会長は昨年7月に行われた経験交換会で山口初中の事業収益が全学校のうち唯一ゼロだということを知り、他の学校の努力、知恵に圧倒されると同時に、危機感、孤立感を感じたと振り返った。そして9月に青商会OB、商工会、教員をメンバーとする収益事業部を新設したと述べた。
収益事業部が最初に着手したのが、玄関などに敷くマットの斡旋事業。過去に収益事業として行っていたが、ここ数年、有名無実化していたものを復活させた。そして現在、学校運営に役立てるため、外国人技能実習生の受入機関の新たな立ち上げを準備している。
金会長は昨年、経験交換会を機に動き出せたことが成果だとしながら「園児、児童、生徒数が少なくなる中、いかにいい学校を作っていくか、選ばれる学校を作っていくかという問題意識のもと教育会の存在意義を高めている」と述べた。

生徒数を増やすための園児・児童募集事業について南武初級教育会の李成大会長が発言した。
李会長は、同校で実践している園児・児童募集事業のハウツーや秘訣を詳しく紹介。李会長は募集事業をする際に「子どもたちの人生に関わる責任を感じるが、南武初級はさまざまな学校の中で選んでもらえる良い学校だと自信を持っている」と語った。
愛知県内の朝鮮学校への補助金は他の朝鮮学校と比べて多く、学校運営に役立っている。愛知中高教育会の李博之会長が対外事業を通じて補助金を獲得した経験について述べた。
李会長は補助金を求める要請活動の際、各種学校という資格を排除の理由にさせず、朝鮮学校の歴史、現状を踏まえて公平に扱うこと、ニューカマーとは区別し、オールドカマーの学校だということを強調しながら朝鮮学校への適切な措置を求めていると説明。働きかけによって経常費補助金をもらう際、各種学校でも経常費に人件費を含めることが可能となり、補助金増額を勝ち取った成果を紹介した。李会長は各地方自治体の補助金の要綱を研究し、保健室設立、スクールバスの補助金など適用される可能性のある補助金を探すべきだと強調した。

つづけて補助金獲得の契機は、2年前に愛知県知事が初めて愛知中高を訪問したことだとし、県知事との交流が補助金を得るうえで追い風になったと紹介。補助金獲得事業を進めていくために首長、行政担当者、地域の議員、労働組合、同胞商工人、連帯団体などとつながり、地域から朝鮮学校を支援する世論を喚起することが重要だと述べた。

朝青埼玉県本部の崔智慧委員長が、一口運動に新たに102人を網羅した経験について述べた。
埼玉県では2010年、埼玉初中に対して県の補助金が支給されなくなり、15年に一口運動が始まった。
崔委員長は朝青が民族教育事業のためにできることは、多くの同胞青年たちを一口運動に動員することだとしながら、解説資料の作成、対象の名簿化、期別責任者との事業、総括など一口運動拡大運動の流れを話した。
その他会場から、川崎初級の姜珠淑校長が小規模学校の運営経験について、京都中高教育会の趙明浩会長が京都初級で天然芝を植えた経験について、滋賀初級の金隆泰校長が教育委員会・役所・自治体の掲示板、公共交通機関を通じた学校宣伝事業についての経験を話した。
(許侑琳)
民族教育守る同志たちが一堂に/第2回学校運営に関する経験交換会