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〈留学同 80年の軌跡⑦2010年代〉民族教育弾圧・歴史修正主義に抗い

2025年11月15日 10:30 総聯

日本の大学や専門学校に通う在日朝鮮人学生のための団体で、その源流は日帝植民地下、朝鮮本土より日本へ留学し、日本の地で朝鮮独立を掲げ闘った朝鮮留学生たちの活動にある。総聯傘下団体の中でも最も長い歴史を持つ留学同は、この朝鮮留学生たちの意志を継ぎ、今日まで一貫して祖国と民族、同胞社会の発展に寄与し、在日同胞と朝鮮留学生の民主主義的民族権利の擁護のために活動してきた。80年の歴史を振り返る本連載の執筆は、留学同中央が担当する。月1回掲載。

2010年、日本政府は「高校無償化制度」を施行。朝鮮学校は「審査中」とされた後、2012年に安倍政権によって不当な省令改正が行われ、完全に除外された。

留学同ではこれらの動きにいち早く対応し、2013年には全国的に「朝鮮学校を知ろう! 考えよう! 応援しよう! キャンペーン」を展開、各地で集会や街頭宣伝を活発に行い、2014年3月9日には「守ろう! ウリハッキョ! 朝鮮学校差別に反対する大学生全国集会」を行った。

「守ろう! ウリハッキョ! 朝鮮学校差別に反対する大学生全国集会」(2014年3月9日)

また、各地で高校無償化制度からの朝鮮学校除外に反対する裁判闘争が行われる中、例えば留学同東海では毎回の裁判の傍聴抽選に漏れた人々に対する説明会、学習会を留学同が担当するなど、重要な役割を担った。

その後も一部マスメディアや大学当局などの反対勢力からの激しい攻撃に遭いながらも、各大学内で抗議署名や抗議メッセージカードを集めた。2017年には「文部科学省と朝鮮学校生に送るメッセージ」カード2401枚を持って直接文科省に要請活動も行った。

無償化裁判について解説する留学同東海のメンバーたち(2013年)

文科省を訪れ、朝鮮学校の高校無償化適用を求めた(2017年)

朝鮮学校出身生はもちろん、日本学校出身生も多い留学同でなぜこのように民族教育権擁護の運動を力強く行えるのか? 留学同東海を卒業し現在「民族教育の未来をともにつくるネットワーク愛知 ととりの会」事務局で活動する陳聖華さんは留学同の先輩に連れられ初めて朝鮮学校を訪問した時、学生たちが「バスに乗り、電車に乗り(뻐스를 타고 전차를 타고)」の歌を歌っていたことを回想し次のように語っている。

「自分のルーツは隠すことが当たり前だった自分にとって『わたしたちは朝鮮人』と高らかに歌い上げることは衝撃であり、とても輝いて見えた。…民族教育の未来を『ともに』つくるために、自分のできることに精一杯とりくんでいきたいし、自分自身の中の『朝鮮』を見つめることを恐れずにいたいと思う。『우리는 조선사람』と歌い上げられる社会を目指して!」(『明日(みらい)を灯そう-愛知朝鮮高校無償化裁判支援の記録-』ハンマウム出版、2023年より)

また、留学同京都出身の李京旻さんは朝鮮学校を訪れたことを「朝鮮の名前を名乗り朝鮮学校に通っているこの子どもたちは、常に『朝鮮』というイメージを否応なしに背負わされ、偏見と暴力に満ちた日本社会からのまなざしを背に受けて生きてきたのではないか。在日朝鮮人として堂々と生きてきたつもりでいた私は背負ってきたものなどほとんどなく、逃げ道をたくさん用意しながら生きてきたのではないか。…私は一体どこに立っているのか…。そんな問いかけが次々と浮かんできた」と回想している。

このように多くの留学同盟員たちは自身が朝鮮学校に通ったか否かに関わらず、在日朝鮮人としての自己や運動を映し出す鏡として、自身に問い掛けるものとしてその重要性を誰よりも認識していた。

他方、2010年代に入るとヘイトスピーチ・ヘイトクライムが顕在化し、全国の強制連行跡地に建立された追悼碑や説明版が右翼による攻撃で相次いで撤去されるなど日本の排外主義、歴史修正主義はますます酷くなった。

留学同は高校無償化制度から朝鮮学校のみを不当に排除した日本政府の判断が、それらに「お墨付き」を与え拍車を掛けたことは間違いないと考え、歴史修正主義に抗うためのさまざまなキャンペーンを行った。

2015年度には日本各地で「日本の歴史歪曲を許さない! 全国大学生行動」を展開。それまで留学同兵庫が独自に取り組んでいた強制連行名簿整理、データ化事業を全国的に行ったほか、日本軍性奴隷制の被害を受けた女性たちのパネル展示会も各地で行った。

2016年には「日本の植民地支配清算と朝鮮半島の真の平和を求める3.9朝鮮人大学生行動」を実施し、2018年には1063人の賛同を得た「日本政府に朝鮮民主主義人民共和国との対話促進を求める大学生・教員声明」を外務省、法務省、文科省に提出した。

近畿3本部と中四国による記念公演とシンポジウム「『怪物』たちの行進」の出演者たち(2019年)

また、2019年には3.1独立運動100周年に際して、関東4本部合同でデモ行進と展示会およびシンポジウム「『三・一』100年が問いかけるもの」を、東海本部が文化公演「青い灯火」を、近畿3本部と中四国が記念公演とシンポジウム「『怪物』たちの行進」を、九州本部が記念集会を開催した。

留学同は近年にも変わることなく在日朝鮮人や朝鮮民族を取り巻く諸問題に対し鋭く反応し実践を重ねてきたのだ。

【留学同中央】

年表

2011.12.08 「留学同大祝祭~私にとっての“ウリハッキョ”」開催(日比谷公会堂)

2014.7 国連人種差別撤廃委員会日本審査へ高校無償化制度除外の不当性を訴えるため代表を派遣

2015.03.08 「日本の歴史歪曲を許さない!全国大学生行動」スターと集会開催

2015.12.19~20 「留学同結成70周年記念公演」、「コリアン学生Challengeフォーラム」開催

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