庶民の暮らしいきいきと/洪永佑回顧展「郷愁」
2025年09月28日 09:00 文化・歴史 文化生地の愛知県で

洪永佑さんの回顧展「郷愁」が名古屋市民ギャラリー栄で行われた
在日朝鮮人2世の画家で、2019年に急逝した洪永佑さん(享年79、人民芸術家)の回顧展「郷愁」が9~14日まで愛知県の名古屋市民ギャラリー栄で行われた。民俗画25点を中心に、これまで洪さんが描いてきた作品が展示された絵画展に、6日間で延べ785人が来場した。
愛知展限定展示も
1939年に愛知県岡崎市で生まれた洪さんは、74年から朝鮮青年社、朝鮮画報社、九月書房で在日同胞の月刊雑誌編集、朝鮮新報社で月刊イオの創刊(1996年)に携わった。92年から98年にかけて在日本朝鮮文学芸術家同盟中央の美術部長を務め、95年には朝鮮民主主義人民共和国人民芸術家の称号を授与された。
洪さんの回顧展は昨年の東京都内での開催に続いて2回目。出身地である愛知県での開催となった今回の回顧展には、「キムジャン」、「歓喜」、「赤松」、「スリナル(端午節)」、「早朝」など朝鮮王朝時代の庶民の暮らしを描いた朝鮮画のほかに、紙版画作品、絵本、絶筆となったデッサンなどが展示された。
来場者の目を引いたのは、愛知展限定となる大型作品「市場(시장)」と「市の日(장날)」の双子展示。両作品は、人々でごった返す市場のようすを俯瞰の構図でとらえている。今にも市場のざわめきが聞こえてきそうな、庶民のエネルギーにあふれる絵だ。
「市の日」は回顧展を後援した邑翠文化財団の鄭禧昇理事長の所蔵作品。愛知展のために特別に展示された。