〈学生中央体育大会2025〉記者が選んだ激闘/中級部サッカー
2025年09月12日 17:36 スポーツ 民族教育3位懸け、接戦の「東京ダービー」

東京中高(赤色)と東京第1・4・5ㄱの準決勝
2025年度在日朝鮮学生中央体育大会(世田谷区・駒沢オリンピック公園総合運動場、2~4日)の中級部サッカー競技には13チームが出場し、3日間で計31試合が行われた。
今大会決勝では、昨年も優勝を懸けて争ったミレㄱ(尼崎・神戸・西播合同、ㄱは一軍)と大阪・和歌山ㄱ(昨年は大阪中高)が再び激突。ミレㄱが前回大会のリベンジを果たし、優勝に輝いた。
一方、準決勝は東京中高と東京第1・第4・第5ㄱの試合に。3位入賞を目指す2チームによるプライドを懸けた「東京ダービー」は、PK戦までもつれ込む接戦となった。
3位決定戦も昨年と同カード。1年前は東京第1・4・5が東京中高に勝利しており、今年はどちらに軍配が上がるのか、観客の興味をそそる一戦となった。決勝戦の前座を務めるには十分な雰囲気のなか、キックオフの合図が鳴らされた。
前半は、東京中高が攻撃時には正確なパスや的確なボールホルダーへのサポート、守備時には素早い寄せとDF陣の安定したカバーリングによって試合を上手く運んだ。
前半8分、東京中高は右ハーフスペース手前でFKを獲得。ボールは弧を描き相手ゴール前で味方選手に届いたが、シュートは枠外に転がった。前半13分には、PA手前でFKのチャンスが到来。シュートはゴール左隅に飛んだが、GKの好セーブに阻まれた。
一方、東京第1・4・5ㄱが同19分にPA左角付近でFKを獲得。ボールは勢いよく蹴り込まれたが、右ポストに直撃した。前半を通じて、最も得点に近づいたのはこのシーンだった。その後、得点は生まれず0-0で前半が終了した。

試合はお互い譲らずの攻防となった
ハーフタイム後、ピッチに戻った両チームは再び円陣を組み、気合を入れ直す。勝負の後半戦が始まった。
開始早々にギアを上げたのは東京第1・4・5ㄱだった。GKを中心に前線へのロングボールでDFの背後を狙い、前半より激しいプレスでセカンドボールを奪取。東京中高もパスワークで攻めるが、強度を上げた東京第1・4・5ㄱのプレーもあり拮抗した時間帯が続いた。
後半25分、東京第1・4・5ㄱのゴールキックが東京中高の最終ラインの頭を越え、FWが抜け出す。FWの選手は冷静にGKの位置を確認し、バイタルエリアでバウンドするボールを高く蹴り上げループシュート。相手GKの背後にボールが落ち、先制点が生まれたように思えたが、シュートは右ポスト外側にボール1個分ずれており決まらず。観客席からはどよめきが起こった。
その後も、東京第1・4・5ㄱが前線にロングボールを放り攻め続けた。相手陣地の深部に何度か侵入するも、東京中高が耐え抜いて後半が終了した。
前半は東京中高、後半は東京第1・4・5ㄱが試合を有利に進めたが、ゴールは生まれず。「東京ダービー」の行方は、前回と同じくPK戦に委ねられた。
先攻が東京中高、後攻が東京第1・4・5ㄱに決定。ギャラリーの視線が集中するなか、PK戦がスタートした。
1人目のキッカーは両チームが成功。東京中高2人目のキッカーが蹴ったボールは右ポストにはじかれる。後攻の東京第1・4・5ㄱが左隅に決め、リードを握る。3人目、先攻キッカーのシュートを東京第1・4・5ㄱGKがセーブ。東京中高が絶望的な状況に追い込まれたかに思われたが、東京第1・4・5ㄱキッカーが左枠外にシュートを外して痛み分けに。4人目、先攻キッカーが成功させると、後攻キッカーのシュートを東京中高がストップ。スコアは2-2で同点の振り出しに戻った。5人目、先攻・東京中高のシュートはGKに触られるもゴールネットを揺らす。後攻、外したら負けが決まる東京第1・4・5ㄱのシュート。先攻キッカーとほとんど同じ球速、コースに転がった。ボールは東京中高・GKの手の中に収まり、勝負アリ。一時は敗北濃厚と思われた東京中高がPK戦で逆転劇を演じ、3位入賞を勝ち取った。

PK戦後、勝利を祝う東京中高
試合後、東京中高は歓喜に沸いた。東京第1・4・5ㄱはPKを外した選手を慰めに、チームメイトが駆け寄っていた。責めるのではなく、共に戦った仲間を称える姿は、日頃から育まれたスポーツマンシップの現れだった。
観客席から、勝利チームの祝福と、両チームの健闘を称える拍手が送られるなか、2年連続の「東京ダービー」は幕を閉じた。
(朴忠信)