〈時事エッセー・沈黙の声 60〉62年間無実を叫んだ狭山・故石川一雄氏の再審を
2025年06月15日 09:46 寄稿「見えない手錠」外す闘い継承の妻早智子氏
日本には様々な差別が今も残っている。被差別部落に対する差別はその一つだ。私が14歳だった1963年、埼玉県狭山市で高校生の女性が行方不明となり、脅迫状が届けられ、警察は身代金を取りに現れた犯人を40人もの警官が張り込みながら取り逃がし、高校生は遺体で発見された。捜査にいきづまった警察は、付近の被差別部落に見込み捜査を集中し、石川一雄氏(当時24歳)を別件逮捕し、1カ月にわたり警察留置場(代用監獄)に監禁し、虚偽自白を強要し、何の証拠もないまま犯人にでっちあげた。
一審は死刑、二審は無期懲役で、77年に無期懲役が確定した。その直後、石川さんは再審請求を申請。石川氏は服役し、94年末に仮釈放された。石川氏は第3次再審請求中の3月11日に肺炎のために86歳で死去した。石川氏の妻、石川早智子氏(78)が4月4日、第4次再審請求の申立人になった。