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三重同胞奮闘記⑳カウントダウンが始まった!/金琴純

2025年08月19日 14:34 暮らし・活動

三重県唯⼀の朝鮮学校、四⽇市初中は来年9⽉に創立80周年を迎える。

電⾞通学をした卒業⽣はきっと懐かしいはず、近鉄「阿倉川」駅から⾒える同校のイラストが表紙の75周年記念誌『추억모이(チュオッモイ)』でその歴史をたどってみる。珍島サラムの持つ豚⼩屋を開放し子どもたちが通ったのがはじまり。

第2期卒業⽣の曺健⼀さん

当時の名でいうと四⽇市朝鮮人⼩學校・第2期卒業⽣の曺健⼀さん(84)に会う機会を得た。アボジ、オモニの強い勧めで入学した頃は豚⼩屋で学び、今の場所に校舎建設が始まると地中からいろんな⾻が出てくるので毎⽇専⽤の箱に入れていたという。

当時のことを思い出す助けになればと『추억모이』を持参した。ページをめくりながらご⾃身が写っているであろう写真を⾒つけては、拡⼤鏡を使い熱心にご覧になっていた。

これまで体験者から四⽇市初中ができた頃の話を直接聞いたことがなかったので、戦前⽣まれの曺さんの話は記録としても貴重なものとなった。そして何より同誌の前半、年表とともに掲載されている⽩黒写真に写っている方に会えたことは誌⾯づくりに携わった⼀員として幸甚の極み、同誌の役割が三重同胞の思い出を集めるに留まらず、⼤切な資料になったと感じ入った。

四⽇市朝鮮人⼩學校2期生たち(1953年3月)

この4⽉、長年空席だった教育会会長に金龍植さん(48)が就任した。「誰かがやらなければいけないことだから。自分がやれば次に続くと思うのでまず僕がなって、次の会長に引き継ぐことが仕事です」。強みは商売人であること。風穴を開けるべく重責にひるまず一つひとつ、変えるべきところを見直し改善していきたいそうだ。新会長の存在は同校の未来を明るく照らす。ハッキョや組織に積極的に取り組む40代の同胞たちは、三重同胞社会の全体を支える柱となりつつある。まだまだ捨てたもんじゃない!

教室に掲げられた「学校創立80周年に向けて前進!」のスローガン。ことあるごとに「創立80周年」のワードが発信され始め、同胞たちの意識の中にゆっくり浸透していく。記念事業はこの秋から本格的に始動するそう。「ハッキョが同胞をつなげている。人数は少ないがウリハッキョの良いところはまだまだ残っている」と話す金会長ら理事たちから目を離せない。

教育会会長に就任した金龍植さん(中央)

(「ウリ民族フォーラム2023in三重」と準備過程で活気を取り戻した三重同胞社会。フォーラム後も有志たちの奮闘は続いている。同フォーラム記録係を務めた金琴純さんがかれらの活動をレポートする。不定期掲載)

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