岐阜初中便り③進路講習で思うこと
2025年07月29日 15:13 民族教育
長野初中で行われた進路講習のようす
6月26、27日にかけて、長野初中で「愛知朝高学区 中級部3年生のための進路講習」が開かれた。
各学校では毎年、中級部3年生の生徒たちが、「自分はなぜ愛知朝高に進学するのか」「なぜウリハッキョを守らなければならないのか」などのテーマに沿って、自身の進路や在日同胞社会について議論するのだが、今年度は、生徒たちがさまざまな人たちから刺激を受けながら議論を深められるようにしようと、愛知朝高学区の生徒たちが一堂に会して講習を行うことになった。
そこでは、朝鮮大学校の先生や大企業の社長などが、講義したり座談会を開いてくださり、その都度グループごとに討論を行うことになった。最終日には全体で討論することで、進路講習の意義が深められた。
今回の進路講習を通じて私が強く感じたのは、わが校の生徒たちの素直さだった。講師の話に真剣に耳を傾ける姿勢がとても印象的だった。
全体討論の場で生徒たちは、中学生という思春期真っ只中の年頃もあり、自分の意見を言うのを恥ずかしがったり、周りの意見に流されたりする様子も少なからず見られた。しかし岐阜初中の生徒たちは周囲に流されることなく、自分自身が今回の講習で学んだことを堂々と発言していた。その姿から、かれらの自立心や発信力、学校に対する想いや人生観についての確かな成長を感じ取ることができた。

進路講習参加者たち
とくに印象深かったのは、「少年団の活動理念である『集団主義精神』を深く学べた」というある生徒の発言だ。
岐阜初中には初級部高学年と中級部を合わせても児童・生徒は7人しかおらず、少年団の活動も少人数で行われている。
その生徒は、「岐阜ハッキョは人数が少ないからこそ、集団で活動せざるを得ないのではないか」という疑問をかつて抱いていたという。しかし、今回の講義を素直に受け止め、自分なりに深く理解しようとした結果、集団活動の「本質」に気づいたのだろう。ただ人数が少ないからまとまっているのではなく、朝鮮学校という環境の中で育まれた、人を思いやる素晴らしさについてかれ自身が気づいたのではないだろうか。
私は、かれらが中級部1年生の頃から担任をして3年目になるが、正直なところ、これまで自分の指導が本当にかれらを良い方向に導けているのかについて自信が持てないことが多かった。だが今回の講習で見せてくれた生徒らの姿を通じて、改めて自身の生徒教育についての手応えのようなものを感じることができた。
裏表がなく、素直でまっすぐな生徒らからは、私はいつも元気をもらっている。
そんなかれらと過ごせるのも残り約半年だと思うと、胸に込み上げてくるものがある。
残された時間の中で、もっと深く関わり、一緒に笑い合い、悩み合い、最後には「このクラスでよかった。ウリハッキョに通えてよかった」と心から思えるような時間を積み重ねていきたい。
(教員・尹亨奎)