公人が“民族的出自を攻撃”/李香代さん裁判、10月24日に判決
2025年07月16日 10:30 権利
大阪地裁に向かう李香代さん(右から2番目)と弁護団(7月10日、大阪市)
大阪府泉南市の添田詩織市議会議員からSNS上で在日朝鮮人の出自を攻撃されたとして、損害賠償と投稿の削除を訴えた(2024年5月に提訴)大阪中高元オモニ会役員の李香代さん(59、大阪府在住)の訴訟の本人尋問が7月10日に大阪地裁で行われた。原告・李さん側の証人として大村和子さんも発言した。裁判は結審し、10月24日に判決が言い渡される。
第9回期日を迎えたこの日、裁判が初公開された。
冒頭、李さんの弁護団が発言し、この裁判は在日朝鮮人である原告がその民族的出自を理由として標的にされ、可視化されたという「構造的な差別だ」と指摘。「外国籍」「朝鮮学校を支援している」「スパイの親族である」といった趣旨の言葉を並べ、原告が日本社会から排除されるべき人物であるかのように投稿したものには原告の実名、容貌が明瞭にわかる写真、所属先、出身校や家族関係といった情報が含まれており、受け手にとって原告の特定が容易であることは明らかだと指摘した。弁護団は、李さんが府庁前で朝鮮学校への補助金支給再開を求め街頭演説をしている写真などを並べた添田市議の投稿が、プライバシー・肖像権・名誉権を侵害していると主張した。
添田議員は、李さんに関する発信は市の公金がしっかり使われているかどうかに関する「市民への情報提供だ」などとして最後まで反省の色は見せなかった。これに対し原告弁護団は、添田議員が数ある会社役員の中から李さんだけを選別し、攻撃の対象とした点について、添田議員のYouTube動画などから追及した。
李さんは、添田市議の攻撃を受けた後に受けた不安や恐怖を吐露しながらも、差別と闘う意思をしっかりと伝えた。「被告の投稿は曖昧な言葉を使いながらも、在日コリアンを貶める発信をしており、それ自体が明らかなヘイトです。その言葉がたとえ暴言でなかったとしても、そのような発信を続けることが偏見を助長し、排除の空気を正当化します。市議であり公人である添田市議が政治家としてこのような発言を繰り返すことは看過できず、社会として明確にNOを突きつけなければならない」
傍聴には大阪、京都などから多くの同胞と日本市民が集まり法廷で李さんの弁論を見守った。
(朝鮮新報)