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〈取材ノート〉今伝えたいこと

2013年07月10日 13:20 文化・歴史

「笑いたい 泣きたい 会いたい 聞きたい 行きたい 歌いたい この思い届けたい」

上記は、金剛山歌劇団声楽部のデュオユニット「Sipo」のオリジナル曲「シポ」のサビの歌詞。先月末に行われた、福島朝鮮初中級学校チャリティーコンサートでは最後にこの曲を歌った。その歌声が今でも耳元で聴こえる。歌詞には同胞たち、また日本の人々も、距離は遠くても心の中で常に寄り添っているというSipoの思いがぎゅっと凝縮されている。昨年の2月にはこの曲も収録されているオリジナルCDを発売。貯金を切り崩し自費で制作したCDは、日本各地のウリハッキョにプレゼントされた。そうした秘話を聞くとなおさら心がぽっと温まる。

一つ驚いたのは、この日の会場が金剛山歌劇団の「大練習場」であったこと。正直はじめは「練習場でコンサート…?どうやって?」という思いだった。しかしいざ会場の扉を開けると、白と青を基調とした色づかい、装飾と照明を巧みに使って純粋かつ幻想的な世界が作り出されていた。どの空間でも舞台を作り上げてしまう創造力に、「さすがプロ!」と感嘆するとともに、少しでも疑った自分の思考を反省した。

今、出演者たちが伝えたかったこと。それは一言で「シポ」だった。「シポ」は朝鮮語で「~したい」という意味。「異国の地で朝鮮文化の伝統を守り伝えていきたい」。その思い一つで、すべてを注ぎ懸命に活動する団員たちの願いがあの公演に込められていた気がする。(梨)

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