要請現場ルポ/高校無償化拡充を巡って
2025年03月12日 11:34 民族教育国会議員ら“文科省が変わるとき”

7日に行われた金曜行動には、朝高生をはじめ同胞や日本市民ら約200人が集まった
「高校無償化を即時適用せよ」「差別反対」―。7日、東京・虎ノ門の文科省前に、約200人の抗議の声が、闘争歌が響き渡った。終わりの見えない「闘い」に、多くの大人たちが疲弊する中、20代の朝大生たちが、10代の朝高生たちが、何度も、何度も声を上げてきた場所だ。そしてこの日も、マイクを持ち最前線に立ったのは次世代たちであった。
「私は先代たちが守り続けてきた朝鮮学校で、他では決してできない経験をたくさんしてきた。朝鮮学校を失いたくないです」
「なぜ、朝鮮高校生が、政治的なことで自由に学ぶ権利を奪われなくてはいけないのですか」
「朝鮮学校が、自動車学校などと同じ各種学校として扱われることは理解に苦しむし、怒りも覚える。日本の高校生が自分の国のことばを学ぶのと同じで、私たちも私たちの国のことばや文化を学んでいるんです。無償化対象を拡充するなら無視され続けたこの声にも耳を傾けてほしい」
これら発言はすべて「金曜行動」当日、リレートークに臨んだ東京中高の生徒たちの発言で、かれらが自ら準備したものだ。制度から除外されることへの率直な思いを、堂々と話す姿に、大人たちは、改めてこの「闘い」の意義を見出そうとしていた。
他方で、筆者は、生徒たちの声が庁舎にこだまし響き渡ったとき、いわれのない焦燥感、脱力感に襲われた。それは、「金曜行動」前に行われた文科省への要請が関係していた。
政治的な色眼鏡はやめて

朝高生たちによる文科省への要請
「私たちの保護者も、日本の方々と同じように納税義務を果たしています。私は国籍や民族、そんなの関係なしに、皆仲良く平和に暮らすことを望んでいます。どうか私たちを政治的な色眼鏡で見るのではなく、ひとりの人間としてみてほしい」。
東京中高に通う洪雪雅さん(高1)は、要請の場でこう話しながら、あふれる感情を抑えきれず大粒の涙を流した。