高校無償化巡り、朝・日市民団体が緊急声明/国会で会見
2025年03月01日 09:34 民族教育拡充に伴い、従来除外の朝鮮高校も無償化を
2026年度にも高校の授業料が、私立を含め無償化される。これと関連し2月28日、今年2月に結成された「日本と朝鮮を結ぶ全国ネットワーク」(日朝全国ネット)と、「朝鮮学園を支援する全国ネットワーク」(朝鮮学園支援ネット)は、国会内で共同会見を行った。両団体は、教育機関としては現行制度から唯一除外されている朝鮮高校を、無償化拡充に伴い対象とするよう強く求めた。
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国会内で開かれた会見
民主党政権下だった2010年4月、普通高校に限らない「画期的な制度」として、専修学校や外国人学校、インターナショナルスクールをも対象としスタートした高校無償化制度。朝鮮高校の無償化を巡っては、同制度において、「その他文科大臣が『高校に類する課程』としたもの」(「省令ハ」)に含まれるとして当初対象に選定され、適用に向けた審査が行われていた矢先、延坪島砲撃事件が発生した。当時の菅直人首相は、審査「凍結」を指示し、その後、同措置は解除されたものの、2012年12月の第2次安倍政権発足に伴い、下村博文元文科大臣が対象からの除外を発表した。
これと関連し当時、政府の見解を表明した下村大臣は、「拉致問題に進展がないこと」「朝鮮総連と密接な関係にあり、その影響が及んでいること」をあたかも除外する正当な理由かのように言い、朝鮮高校への適用根拠となる「省令ハ」を削除、学校側に不指定を通知したと発表した。
朝鮮学校やそこに通う子どもたちを、政治のカードとして狙い撃ちした差別的な措置を受け、13年からは、卒業生らが原告となり各地で国賠訴訟等も行われた。
一方で、国連人権機関からは、同年4月の国連人権条約委員会(社会権規約委)を皮切りに、制度から朝鮮高校を排除することが、教育を受ける権利の侵害だとして度々勧告が出ている。しかし、朝鮮学校の無償化を巡る状況は、10年以上にわたって棚上げされてきた。そして今回の、制度拡充に伴う流れの中でも、国会で全く議論の俎上に上ることなく、制度が成立されようとしている。
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大阪での高校無償化裁判1審で、勝訴判決に歓喜する当時の朝高生たち(17年7月)
両団体は、そうした状況に異を唱え緊急会見を催した。会見ではまず、両団体が出した声明について、日朝全国ネットの藤本泰成共同代表、一橋大学の田中宏名誉教授がそれぞれ読み上げた。