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〈阪神淡路大震災30年〉兵庫で追慕会と文芸同公演

2025年01月17日 17:20 在日同胞 歴史

歴史を記憶し、復興精神の継承へ

「阪神淡路大震災30年 犠牲同胞追慕会」が兵庫県神戸市内で行われた

「阪神淡路大震災30年 犠牲同胞追慕会」(主催=実行委、主管=文芸同兵庫文学部)が15日、兵庫県神戸市内にあるピフレホールで行われ、総聯中央の南昇祐副議長、総聯兵庫県本部の金徹委員長、文芸同兵庫の沈達也委員長をはじめとする活動家や犠牲者遺族など、350人の同胞が参加した。参加者たちは、震災で尊い命を落とした同胞たちへ追悼の祈りを捧げると共に、当時の悲惨な歴史と、震災後に見舞い電、慰問金を送ってくれた祖国への感謝を記憶し、先代たちの復興精神を受け継いでいく決意を新たにした。

同胞犠牲者を追慕

犠牲者たちへの献花が行われた

1995年1月17日午前5時46分、M7.3の兵庫県南部地震が発生した。兵庫県内は震度6~7の揺れに襲われ、甚大な被害を受けた。阪神淡路大震災を引き起こしたこの地震により6434人が亡くなり、その中には125人の同胞も含まれる。

県内の総聯本部、支部、分会事務所や朝鮮学校など、同胞たちの拠点も多大な損害を受けたが、同胞たちはそれらの災禍に屈さず、同胞社会の再建に身を投じた。そして、今日も兵庫同胞社会の維持、発展に努めている。その陰には、震災後に祖国が見舞い電と慰問金を送り、復興を支えた歴史がある。

震災から30周年に際して行われた今回の追慕会では、第1部で追悼式が行われ、第2部では文芸同兵庫による公演「1.17 대를 이어 전해가리」(代を継ぎ伝えて行こう)が披露された。

第1部・追悼式の開式にあたって、南昇祐副議長があいさつをした。

南昇祐副議長はまず、同胞犠牲者への追慕と、遺族らへの哀悼の意を示した。また、被災後の壊滅的な状況から、祖国の愛と配慮を一身に受け、同胞たちの生活復旧と安全を確保するために尽力した全ての同胞たちへ敬意を表し、「兵庫同胞たちが無病息災であることを願い、今後も情で結ばれた、相互扶助の美風に溢れる同胞社会を作りあげることを固く確信している」と語った。

続いて、金徹委員長が追悼の辞を述べた。追悼の辞では、震災で1500人の同胞が負傷し、1990の同胞家屋が破壊されたことや、祖国が「苦難の行軍」で苦しむ中、慰問金として100万ドルを送ってくれたこと、総聯中央が主導し、各地で救援運動が行われたことなどについて言及された。金徹委員長は「今後も同胞第一主義を旗印に高く掲げ、同胞たちの幸せと愛する後代の未来のために、愛国事業にまい進していく」と述べた。

遺族をはじめ代表者らが、同胞犠牲者に捧げる献花を行った。

第2部の文芸同兵庫公演「1.17 대를 이어 전해가리」(代を継ぎ伝えて行こう)では、被災後に涙を流す兵庫同胞たちの姿や、その後復興に取り組む同胞たちの様子を撮影した映像をバックに、文芸同のメンバーたちが語り手を担い、阪神淡路大震災と関連して創作された詩や歌などを披露した。映像では、被災経験を持つ5人の同胞へのインタビューが上映された。フィナーレでは、今公演のために制作された「고베의 밤하늘에」(神戸の夜空に)が披露され、文芸同兵庫による公演は幕を閉じた。観覧者たちの心を揺さぶる公演に、場内は大きな拍手に包まれた。

頼もしい後代へ

文芸同兵庫が公演「1.17 대를 이어 전해가리」(代を継ぎ伝えて行こう)を披露した

曺貞順さん(女性同盟兵庫顧問、75)は公演を観覧し、「30年前のことを改めて思い出した。震災当時、女性同盟は後方にまわり、昼夜を問わず働いた。避難所でトックッやおにぎりを作って、同胞・日本市民関係なく皆に配った。その過程で、町内会長をはじめ日本の方との絆が生まれたことも大切な経験だ」と語る。曺さんは「当時を知らない世代が舞台に立ち、あの時の経験や教訓、記憶を繋いでくれたことが何よりも嬉しい。民族教育を通じて頼もしい後世たちが育っていることに力を得た。本当に来てよかった」と感想を述べた。

李政史さん(兵庫県商工会会長、68)は、最も大きな被害を受けたと言われる長田区で罹災した。「最初の揺れで目覚めた時は、飛行機が近くで墜落したのかと思った。1歳、3歳、5歳の息子を抱えて、必死の思いで避難した」と当時を振り返る。李さんの家はゴム工場を営んでおり、地震による被害も大きかった。「そんな時に祖国が、異国にいる私たちのことを忘れずに支援してくれて、ただただ感謝しかなかった」とし、「ハッキョには組織外の同胞や日本人たちも多く避難していたが、同胞たちは慰問金に感激していたし、その他の人々も話を聞いて感動していた」と語った。李さんは公演で決意を示した次世代たちに、「あの日を教訓に、災害には気を付けて欲しい」と語った。

金麗華さん(文芸同兵庫文学部、30)は、公演で流れる映像の編集を主に担当し、公演にも出演した。生後半年で震災の日を迎えたため、被災当時の記憶はないが、金さんは「ハッキョでは毎年のように震災の歴史について学んだ」という。そして今回、公演の準備を進める過程で、当時、各地の朝青員たちがバイク部隊を組み被災地を訪れ、同胞たちを助けたことなどを改めて知り、「朝青員たちが同胞たちに与えられる力の大きさに気づかされた」という。金さんは、「先代の同胞たちや祖国が守ってくれたから、今の同胞社会がある。支え合いや思いやりの精神を受け継ぎ、後代に繋いでいきたい」と力を込めた。

(朴忠信)

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