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〈朝鮮民族の美 55〉申師任堂「茄子と虫図」(草虫図より)

2013年05月24日 15:21 文化・歴史

わが国の大学者、栗谷・李珥(リイ)(1536~1584)の母親として有名な申師任堂(1504~1551)は知的な家庭に育ち、父からは学問、そして母からは女性としての教養を学んで賢婦人となった。

19歳で李元秀と結婚したが、夫の深い理解のもと、妻として、また3人の男子と娘の母としての役割を充分に果たしながら、洞察力と判断力に富む芸術家としても一家をなしたのである。

16世紀前半、紙に彩色 34×28.5cm ソウル中央博物館

16世紀前半、紙に彩色 34×28.5cm ソウル中央博物館

絵画、筆蹟、漢詩が残されているが、いずれとも繊細で美しく、とくに絵画は花島、山水、葡萄、梅花、蘭、草虫、魚竹など多様な絵が描かれたという。しかし現存する彼女の絵とされるものの中、確かな真作と断定できるものは希で、真品ではないかと考えられる絵としては、ここに紹介するソウル中央博物館の八幅の「草虫図」くらいである。

それは、いかにも女性的で繊細な、温かい感覚で対象をしっかり捕え、明るい色彩に仕上げられている。

その絵を見ると、描かれている対象は互いに重なることなく、一つずつ独立して丁寧に描かれていること、そして植物も虫たちも描かれる一瞬を永遠化するように静的に固定されて描き止められている。

中世の、変化の少ない農業生産を主とする時代の雰囲気を反映しているのであろうか、対象の明確な把握と共に、その動きのない静的な雰囲気が強く印象に残る絵画である。

(金哲央)

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