文芸運動の灯を綿々と/各地で文芸同65周年記念公演
2024年12月12日 09:44 文化在日本朝鮮文学芸術家同盟(文芸同)の結成65周年を記念する公演が各地で行われている。1日に文芸同大阪・舞踊部が、7日には文芸同東海が主催する記念公演が行われ、今月と年明けにも各地で公演が予定されている。
「風」をテーマに/大阪
6年ぶりに文芸同大阪・舞踊部が主催する第9回朝鮮舞踊の夕べ「春風舞輝」(1日、東大阪市文化創造館)が行われ、総聯大阪府本部の夫永旭委員長、女性同盟中央の申千玉副委員長(大阪府本部委員長)、文芸同中央の尹忠新委員長、文芸同広島の李和枝委員長、文芸同大阪の許玉汝顧問をはじめとする同胞たち665人が観覧した。
「春風舞輝」というタイトルには、異国の厳しい風が吹き荒れる中で暮らす同胞たちの心に、民族の舞で温かい春風を届けようという思いが込められている。公演では「風」をテーマにした作品たちが選ばれた。
舞踊「春風舞輝」で始まった第1部では群舞「柳京の春」、重舞「フンパラム」などの7作品が、第2部では歌と踊り「口笛」、重舞「チャンゴの舞~舞姫~」、群舞「小太鼓の舞」などの7作品が披露された。そして総勢70人の出演者によるフィナーレ「大農楽舞」は客席も巻き込み、観客たちの大歓声に包まれる中、幕を下ろした。
この日の舞台には文芸同支部舞踊部のほか、大阪中高舞踊部、「朝青男子」、大阪府内の朝鮮学校教員たちも出演した。
同級生たちが出演するとのことで会場を訪れたという宋勝鳳さん(24)は「朝鮮舞踊を見るのは久しぶりだった。民族の心が思い起こされる舞台を見て、来て本当によかった」と話した。
文敬子さん(83)は「感慨無量だ。印象深かったのは生徒たちの作品と、出演者たちの煌びやかな衣装」だとし、「以前よりもレベルが格段に上がっていた」と感想を述べた。
出演者たちのメイクを担当した金紅瑛さん(56)は今回、初めて客席で「朝鮮舞踊の夕べ」を満喫した。「1年に及んだ準備期間が実を結んだような公演だった」と感慨深く語る金さんは「出演者たちが異国の地でも朝鮮舞踊を楽しんでいる姿が本当に誇らしい」と胸を張った。
大阪朝鮮歌舞団の元副団長であり、現在は文芸同支部・音楽部部長を務める康順愛さん(52)は「歌舞団の頃に共に活動した方々が、今も精力的に踊る姿を見ると自然と涙が流れた」としながら、「文芸同メンバーたちの力を合わせ、芸術の力で同胞社会を盛り上げていきたい」と力を込めた。
次代に民族の鼓動を/東海
文芸同東海結成65周年記念公演「聲」(7日、名古屋市青少年文化センター)を総聯愛知県本部の徐春元委員長、総聯三重県本部の金鉉二委員長、総聯岐阜県本部の李竜煕委員長、文芸同中央の尹忠新委員長をはじめとする500人の同胞、日本市民たちが観覧した。
東海支部の65年史、民族文化の鼓動を次代に届けようという思いで「聲(こえ)」と題された公演では、群舞「糸車をまわす乙女」、ピアノ独奏「蜜陽アリラン・永川アリラン」、民俗舞踊「鳳山仮面舞」など12作品が披露された。舞台には愛知中高の生徒たちや、演歌歌手の遠山洋子さん(日朝音楽芸術交流会・副会長)も出演した。
フィナーレの「打鼓舞-聲-」では愛知中高・民族打楽器部と金秀一さん(元金剛山歌劇団)のチャンダンに合わせ、文芸運動の灯を綿々と継いでいく決意が表現された。
また、愛知中高学区の各校に送られるチャリティー金が愛知中高の金貴東校長に手渡された。
公演を見終えた康成恵さん(43)は「舞台にはオモニ会のメンバーたちが出演している。この間、練習に励む姿も見てきた」とし「その姿を見て子どもたちが育っていくと考えると感動もひとしおだ」と話した。
50代と60代の日本人女性は「友人の紹介で初めてこのような公演を見た」という。「すべて素晴らしい作品。見ていて楽しかった」「朝鮮の文化を大切にしている気持ちが伝わってきた。もっと多くの人々に知らせたい」と興奮冷めやらぬようすで語った。
李英子さん(74)は「久しぶりに公演を見て、大きなパワーをもらった」としながら「文芸同の活動がここまで盛り上がっているとは知らなかった。生徒たちなど、新たな芽が育ち、活躍してくれることへの期待が膨らんだ」と微笑んだ。
(高晟州)