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県庁前で補助金求める街宣行動/「埼玉県民の日」に際して

2024年11月16日 14:09 民族教育

反差別掲げた条例に基づき支給を

外国人学校・民族学校の制度的保障を実現するネットワーク埼玉(以下、外国人学校ネット)が主催し14日、朝鮮学校への補助金再開を求める、埼玉県庁前での街宣行動が行われた。11月14日は「埼玉県民の日」で、県庁が開放されると共に、それに伴う各種イベントが開催される。

この日、外国人学校ネットのメンバーたちや県内の専従活動家など12人は、県庁に訪れる多くの人々に向けてチラシを配り、「民族教育は大事な学びの権利」、「市民が差別を許さないという観点を持ちましょう」などと拡声器でアピールしながら、埼玉朝鮮学園への補助金支給の再開と、市民らの関心および協力を求めた。また県に対し、ヘイトスピーチ禁止条例の制定を求める署名活動も行われた。

埼玉県は2010年度、教育内容および財務の健全性を理由に、埼玉初中への補助金を停止した。2018年2月には「財務の健全性が確認され、これが不支給の理由となることはない」との見解を示したが、「拉致問題」に関する県議会の附帯決議(12年3月19日)や「朝鮮総連と朝鮮学校の関係性についての懸念」を理由に、停止から14年が経つ今日まで同校への補助金を凍結したままだ。

これまで埼玉県弁護士会では、県の措置を非難し是正を求める会長声明が発表され、2015年には各地で初となる「警告(人権侵犯救済申立事件に関する決定)」が出された。同警告は、県の不支給措置は「重大な人権侵害」だと断罪した。

街宣行動に参加した久保緑さんは2015年頃、南北コリアと日本のともだち展(浦和)で出会った知人を通じて「朝鮮学校の存在を知った」。以来、朝鮮学校の処遇改善を求める活動にも積極的に参加しているという久保さんは「知るのが遅すぎたかもしれない。けれど知ったからにはできることをやっていきたい」と話した。

埼玉県では、昨年4月に施行された国のこども基本法に基づき、「すべてのこども・若者が、個人として尊重され、その基本的人権が保障され、人種、国籍、性別、障害の有無等による差別的取扱いを受けない」社会構築を基本理念に掲げた「埼玉県こども・若者基本条例」が今年10月に施行された。

外国人学校ネット共同代表の斉藤紀代美さんは「朝鮮学校への補助金が、14年間も不当に凍結されている埼玉県の状況はおかしいし、さらに言えば県条例の理念にも反している」と述べ、今後は県議会を動かしていきたいと話した。

市への要請も

参加者たちは行動後、さいたま市役所へ移動し、保護者補助金に関する所得制限の撤廃と増額を求める要請行動を行った。要請には、外国人ネットのメンバーと在日本朝鮮人人権協会の金東鶴副会長が同行。市からは学事課担当者が対応し、添野ふみ子・さいたま市議(立憲民主党)が同席した。

参加者たちは、要請の場で、「日本による朝鮮の植民地支配という歴史があり、朝鮮学校の意義はそれを踏まえ考え、対応すべき」「さいたま市が、多様性、ダイバーシティ、多文化共生の施策に積極的に取り組む様子がうかがえる。一方で朝鮮学校は、近隣の小中学校や議員たちなど交流が進んでいる。こうした所もクローズアップするなど支援の在り方について工夫の余地はあるはずだ」「さいたま市民として人権が大事にされている市なのだと実感できるようにしてほしい」などと発言。県の補助金が凍結されている中、市が率先して賢明な対応をしてほしいと訴えた。

(韓賢珠)

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