〈分会代表者大会2024〉出会い、繋がる 地域活性化の要/参加者たちが考える分会
2024年11月17日 10:00 総聯今月10日の「総聯分会代表者大会2024」(新全盛期4回大会)には、各地から駆けつけた総聯や女性同盟の分会長など1200余人が参加した。
「顔の見える関係」「温かな空気感」「ニーズに応える活動」―。現在、各地の分会では、若手を取り込むためのさまざまな対策と、世代間をつなぐネットワークづくりなど地域の拠点である分会に対するイメージを刷新する取り組みが精力的に行われている。今大会では、分会が、学校を中心とした地域活性化の要である一方、学校がない地域では、同胞たちがコミュニティーと出会い、つながる入り口としての分会の重要な役割が共有された。大会参加者たちの声を紹介する。(取材班)
先代たちの姿に決意
女性同盟埼玉・南部支部鳩ケ谷分会の盧由華さん(38、支部子育て支援部副部長)は結婚を機に兵庫から埼玉に引っ越した。それから間もない頃、孤独感を抱いていたかのじょに対し、「いちばん最初に訪ねてきてくれたのが分会だった」。当時のありがたさが忘れられず、進んで役員も担ったという盧さんは、今大会で、自身同様に非専従ながらも同胞社会や学校への熱意をもって活動に臨む「先輩たちの頑張りに刺激を受けた」という。「地域の同世代が拠り所にしてくれるような分会を築きたい」(盧さん)
総聯西東京・東部支部北分会の呂和道さん(38、分会長)は昨年末に分会長のバトンを継いだ。この間、呂さんは、同胞数が少ないうえに、地域の朝鮮学校と距離が離れた場所にある分会の特徴を踏まえ、名簿のデータベース化や訪問活動の履歴管理など行動計画を緻密に練るための対策を講じた一方で、日本の学校に子どもを送る家庭との関係構築にも注力したという。他団体との連携を図りながら、分会を同世代が集う場にしたいと考えている呂さんは「分会事務所がないからこそ、同胞たちが気軽に『報連相』できるような組織にしていきたい」と未来図を描いた。
郭栄美さん(47)は、女性同盟群馬・東毛支部桐生分会の委員と県本部常任委員を兼任している。この間、桐生分会では、「会おう(만나자)」をテーマに掲げ、同胞宅への訪問を精力的に行った。しかし、そうした中でも「自分より下の世代がいないうえ、同胞数自体も減少傾向にある」現状は、無視できない課題の一つだ。郭さんは今大会で共有された経験を参考に、知恵を出し合い、分会を守っていく決意を新たにしていた。
「先輩たちが引き受ける姿に、やるしかないと覚悟を決めた」。そう話すのは、3年前から総聯大阪・生野西支部鶴橋分会で分会長を務めている玄隆志さん(48)だ。前分会長の還暦を機に世代交代が進んだ同分会では現在、玄さんと役員2人の3人体制で分会活動を進めている。
鶴橋分会では27世帯がつながりのある同胞家庭だが、そのほとんどが「ご近所さん」。玄さんは「分会長を『やるしかない』と思えたのは、このご近所づきあいを、なくしてはいけないと思ったから」だと述べ、「今後は役員を補強しさらに分会活動を盛り上げていきたい」と意気込んだ。
総聯兵庫・尼崎西支部水堂分会は、今大会で部門別模範分会(心を一つに結集した分会)に表彰された。現在会員は16人。そのほとんどが青商会出身の50代前半から40代前半までのメンバーだという。
2019年に青商会を卒業し、その2カ月後に分会長になったという孫一虎さん(49)によると、同地域では「青商会から分会」という道をつくるために、「次のステージとしての分会」を見据えた取り組みが代々行われてきた。そんな中、孫さんが前分会長から託されたのは「水堂分会は親しいご近所さん(이웃사촌)だ」との言葉だった。一方、今大会の討論では、「支部があれば、分会はいらないのでは」などの声がある中でも、分会活動の意義を確認したとの討論があった。
「支部だけでは小回りが利かない部分がある。密に繋がれるのもやっぱり分会。だから必ず必要」だと述べる孫さんは「増やすことは難しくても、見つけたら繋がって、一度関わったら離れないような関係づくりを目指していきたい」と抱負を語った。
分会のイメージ刷新
「コロナ禍で活動が停滞する中、若い世代の多くが『分会離れ』をした」。女性同盟福岡・福岡支部和白分会では、「分会離れ」の現状を打開しようと、この間、役員たちが分会のイメージ刷新のために奔走した。
分会長の金成麗さん(51)によると「当時、そもそも分会が何をしている組織なのかもわからず、活動停滞期に会費を払うことにも疑問や抵抗感を覚えるオモニたちが少なくなかった」という。そのため役員たちは、「まずはどういう人がいるのかを知ってもらおう」と、運動会など学校行事の場で対象者への声掛けをはじめた。その際、「橋渡し役」として30~40代前半のオモニたちにも加わってもらい、かのじょたちからの協力も得ながら、同胞たちの分会に対するハードルを下げようと試みたそうだ。
「ローラー作戦じゃないけど、新規のメンバーを見つけては、一人または一人と巻き込んでいった」と金さん。すると、新たな対象も自然と見つかったのだという。そんなかのじょが分会活動に一生懸命なのは、「兵庫からきた自分を、先輩たちが分会に誘ってくれた。そうして横のつながりができた」から。「地域柄、他県からきた同胞たちが多いので、そうしたオモニたちが孤立しないように心がけている。下の世代に寄り添いながらも、60代以上の先輩たちとのつながりも大事にする居心地の良いコミュニティーにしていきたい」(金さん)
前回大会で総合模範分会の称号を得た総聯東京・荒川支部学校分会は、今大会で部門別模範分会(ウリハッキョを守り愛する分会)として表彰された。東京第1初中の近くに位置する同分会は、高齢同胞の数が多い一方で、世代交代の時期を迎えている。分会長の河鐘年さん(52)によると、現在分会では若い世代を役員にすえるための準備を進めているという。河さんは、「セセデ(新世代)たちの存在は、組織を活性化してくれる」と述べたうえで「分会活動は数字にこだわらないといけないと思う。会費を納付する会員数や朝鮮新報、イオの購読者数を増やすなど、明確な数字目標を掲げて活動していきたい」と話した。
“朝鮮人として育てたい”
総聯滋賀・大津支部石山分会の李相浩さん(57、分会長)は大会に参加し、「討論が同胞たちを大切にする気持ちで溢れていて温かい気持ちになった」と感想を語る。石山は滋賀県の南部に位置し、滋賀初級からも近いため、卒業生も多く居住する地域だ。20代の頃から同分会の役員として活動し、2年前から分会長を務める李さんは、「石山分会には、組織の所属に関係なくいろんな人が集まってくる。地域の人々と共に歩んでいく分会にしていきたい。そして若者が集まれる場を分会で作っていきたい」と語った。
女性同盟宮城・仙台支部中央分会には50~60人ほどいる同盟員が分会活動に参加しやすいよう、6年前から30~40代のナルゲチーム、50代のパラムチーム、60代以上のハヌルチームに分かれて、食事会を主とした定期的な活動を設けてきた。総聯とは異なり、幅広い年代の女性らを網羅する女性同盟の特徴から「若い世代は遠慮してしまい、それが原因で活動を拒んでしまう傾向があった」と、副分会長の任京順さん(56)は語る。そうした課題を克服しようと設けたチーム制によって、同分会では、役員とは別にチーム長を選出。「かのじょらと協議を重ねながら活動を活性化させている」。
「地域の子どもたちを皆、朝鮮人として育ててあげられたらと思う」
女性同盟福島・中通り支部郡山分会で役員を務める高由里さん(61)はいう。同分会では、福島初中の休校に伴い、朝鮮学校に通えない子どもたちの民族心を養おうとの目標を掲げた活動に注力してきた。その一例が、地域の子育てサークル「キポ会」と共催で毎年行うクリスマス会。このイベントは、先述の目的のためのでもあり、参加する若い世代の保護者たちを分会へと迎え入れるためでもある。また昨年からは、同校の跡地に「女盟菜園」という畑をつくり、収穫はオモニたちや子どもたちと一緒に行っているそうだ。高さんは、そうした「交流の場」を絶えずつくりながらコミュニティーを守る決意を新たにしていた。