支え合う新たな仕組み作りを、申桃順・同胞福祉連絡会代表に聞く
2013年06月13日 11:12 権利ボランティア講座開催
在日同胞福祉連絡会が主催する「知ろう! 始めよう! 同胞ボランティア入門講座」が全4回にわたって行われる(詳細は7面)。各講座では、専門家による講義と同胞障がい者とその家族との懇談会、質疑応答、意見交換などが行われる。開講の経緯などについて、昨年11月に代表に就任した福祉連絡会の申桃順代表(50)に聞いた。
-今回、なぜ講座を始めることになったのか。
同胞ボランティアを拡充し、同胞高齢者や障がい者への関心をよりいっそう高めようと企画した。同胞福祉問題への理解と認識を深めると同時に、より多くの同胞たちの手を借り、ともに支え合い、同胞障がい者を同胞社会的にサポートする仕組みをつくる足がかりにしたいと考えている。とくに今回の講座を、同胞社会で健常者と障がい者の「真の共生」を実現していくきっかけにしていきたい。最近では、障がい児を受け入れる朝鮮学校も増えてきているが、厳しい状況を強いられている民族教育にかかわる教員や保護者などすべての同胞たちに、障がいについて正しい知識を養ってもらいたいという願いも込められている。
-同胞福祉活動の現状について。
同胞障がい者の就職問題を例に上げると、同胞が運営する企業や飲食店には、現在、障がい者を受け入れる体制が整っていない場合が多い。同胞障がい者が自立していく上で課題が多くあるのは現実だが、このような課題を恒常的に考えて、同胞社会全体として解決していく取り組みが必要だと考えている。団結力の強い同胞社会だからこそ、同胞愛にもとづいて、同胞障がい者たちをあたたかく受け入れていく工夫と努力をしていくことも可能だと思う。同時に、無年金問題や介護問題など、社会的に孤立しがちな同胞高齢者に対する福祉課題も克服していかなければならない。現在、福祉連絡会では、ボランティア講座に関する議論とともに、同胞障がい者のグループホームの設立や就職問題、朝鮮学校の特別支援教育に対する支援活動、同胞福祉と関連したネットワーク構築などに関する様々なアプローチを活発に試みている。
-今後の抱負は。
ボランティア講座は、今年の実施状況を踏まえ、来年からは月一回ペースで行っていきたい。また、福祉連絡会傘下の障がい者のための音楽サークル「Tutti」を経験した朝鮮大学校の元学生ボランティアたちなど、新世代の同胞たちと手をとり合いたい。今回の講座を通じ、同胞社会におけるボランティア活動のあるべき形を目指し、様々な現状を受講者と共有しながら、共生していく同胞社会を作っていきたい。同胞全体で同胞固有の福祉課題を解決し、同胞たちが幸福な生活をともに支え合い実現していく新たな仕組みを作るため、今後も心を一つにしてがんばりたい。
(李東浩)