山口初中で、初の給食交流会/下関日朝議連に保護者たちが呼びかけ
2024年10月06日 08:00 民族教育山口初中では、毎週水曜日に保護者や女性同盟有志による給食を実施してから10年以上が経つ。この活動と学校の実態を知ってもらおうと9月 25 日、超党派でなる日朝友好促進下関市議会連盟(会長=山下隆夫)が食卓を囲み、オモニたちと交流会を行った。
学校の実態をより知ってもらいたい―。今回のきっかけとなったのは、6 月に本校のオモニ会が(会長=沈栄順)、地方自治体へ要望書を提出したことにある。補助金復活と「こども基本法」に基づく具体的施策の実現を求め、これまで自らで解決していた給食の配食や子どもたちの学校環境の整備などを要望したが、県の回答はそれに沿うものではなかった。そのため、学校による県と下関市への申し入れに共に参加した議員たちに、学校の現状をより知ってもらおうと、交流会を計画することになった。
給食を共に、切実な訴え
この日のメニューはカレー。 議員たちは、子どもたちと共に手作り給食を試食した後、呉栄哲校長、オモニたちと交流会を持った。
まず、給食の成り立ちについてオモニ会会長が説明すると、参加した議員たちは熱心にメモし、費用負担などの実態について質問した。
この日給食の当番だった李英華、陳香順さんは「給食センターで働いたことがある。朝、自分の子どもの弁当を作り、職場で日本学校に配達される給食を作った。すぐ隣の日本学校に配食されるのに、それはわが子には届かない。モヤモヤした」「自分自身が朝鮮学校で育ったので給食はないものと思ってきた。いま、皆の力で週に一度でも届けられているが、日本学校では毎日あるのが当たり前なのだと気づいた時、切なくなった。 同じ地域に暮らす子どもなのに」 と話した。
命守る設備の充実を
また、保健室設置に尽力した日本学校出身のオモニは「学生時代から保健室が果たす大切な役割を感じてきた。(朝鮮学校には)それがないことにまず衝撃を受けた。AED講習をしようと動いた時、消防署から断られ、近隣の大学の協力で講習を実施したこともある」(大石まゆさん) と自身の経験を語った。中には絶句する議員もいた。
この日、山下会長からは、「市の職員には、朝鮮学校を訪れ交流した経験のある人もいる。数年かけてでも、市政を動かしていきたい」と励ましと決意のこもった発言があった。
他の議員からも「そもそも給食は無償であるべきだが、下関市はまだ半額保護者に負担してもらっている。しかし、朝鮮学校の場合、保護者らが納税義務を果たしているにも関わらず全く補償がない」として、子どもの教育は平等であるべきだと改めて感じたとの感想が寄せられた。
またこの日は、こども食堂を運営する管理栄養士で、市議のパートナーの方も参加。「来月の給食は共に作りたい」と名乗り出てくれた。
これまで市議が学校行事などに訪れることはあったが、オモニ会と膝を付き合わせて交流したのは初めてのことだ。オモニ会から参加した徐スズキ麻弥さんは「11 年間、行政から見放されてきたが、朝鮮学校を理解し、共に取り組もうと、真剣に私たちと接してくれた市議の存在に励まされた。今年の中3は、市や県から教育的援助を全く受けないまま卒業する。今の在校生が同じ状況で卒業することのないよう、共に取り組みたい」と話した。
【山口初中オモニ会】