〈続・歴史×状況×言葉・朝鮮植民地支配と日本文学 70〉永井荷風
2024年09月22日 09:00 寄稿為政者と等質化した日本人へ
関東大震災朝鮮人虐殺から101年、この事件に限らず、朝鮮植民地支配にともなうあらゆる犯罪と責任について、近年ますますひどくなる歴史否認・虐殺否定論の跋扈と連動した官民ヘイトはとどまることを知らない。一方で、今年も各地で追悼行事が力を入れて催され、8年連続で拒否した東京都知事と対照的に埼玉、千葉では県知事が追悼文を送付した。100周年を迎えた昨年来、民間、学術、教育、アート、青年学生たちの活動が旺盛で、特に朝・日の青年学生たちによる歴史認識を正すホームページ開設や、朝鮮人差別への抗議デモ、要請行動など、若い世代の活発な運動が立ち上がっていることは大きな希望だ。
本欄でも毎年のように、関東大虐殺と日本文学とのかかわりについてふれてきたが、今回は明治以来戦前戦後に活躍した文人・永井荷風(ながいかふう)についてとりあげよう。