NK NEWSによる不法な著作権侵害行為
2024年09月06日 09:03 オピニオン無断収集した記事・写真をデータベース化して公開
朝鮮民主主義人民共和国のマスメディアと朝鮮新報社が権利を有する著作物を無断転載し、反共和国宣伝に利用するインターネットメディアがある。NK NEWSだ。
NK NEWSは、NK PRO・KOREA PRO・KCNA WATCHの3つのコンテンツで構成されている。反共和国傾向の人物による分析記事、解説などを載せたNK PRO、KOREA PROは有料閲覧形式だ。一方、KCNA WATCHは無料閲覧形式をとっており、誰でも何の手続きもせずに閲覧できるこのサイトに、共和国の新聞、通信、放送、インターネットメディアの編集物が無断転載されている。KCNAは朝鮮中央通信社(Korean Central News Agency)の略称だ。このインターネットサイトは、無断で収集した他社のコンテンツをデータベース化し、KCNA WATCHの看板を掲げ、それを見ろ(WATCH)とアピールしている。
KCNA WATCHのリストには、朝鮮中央通信以外にも労働新聞、民主朝鮮をはじめとする新聞や雑誌、朝鮮中央テレビ、ネナラをはじめとするインターネットメディアが掲載されている。
看過できないのは、総聯の機関紙である朝鮮新報がリストに含まれていることだ。朝鮮新報のインターネットサイトは、購読料を払った読者だけが閲覧できるようになっている。NK NEWSは有料著作物を自らのサイトに無断転載し、著作権者の許可も得ずに無断公開したのである。
NK NEWSの正体
NK NEWSは、韓国を拠点に活動する米企業Korea Risk Groupが所有しているとされている。英国のニュースサイトCovert Action Magazineは、この会社が米CIAと関係があり、米国務省、国防総省などから資金援助を受けていると伝えている。この記事の筆者であるダーモット・ハドソン(Dermot Hudson)氏は、「スタッフのほとんどが『人権』と『普遍的価値』を説く自称リベラル派であるNK NEWSは、カラー革命時代の体制転覆をねらうNGOの典型的な例であり、朝鮮に関するフェイクニュースを広めるNK NEWSの活動は米帝国主義の利益に合致する」と指摘している。
NK NEWSは、自らを「客観的で独立したサイト」と喧伝しており、欧米メディアもNK NEWSを誰の影響も受けない「独立した情報源」として認識し、頻繁に引用している。しかし、朝鮮関連ニュースに「中立的」な解釈を加え、粗い部分を滑らかにしてもっともらしく見せたとしても、それらは多くの場合、悪意と敵意に満ちた宣伝扇動になっている。
NK NEWSは、KCNA WATCHについても、共和国の一次資料を迅速に伝えるメディアという体裁をとり、「高度な検索とデータ生成手段、ウェブ上で最も広範な朝鮮民主主義人民共和国関連報道のオープンソースアーカイブにアクセスできる」と喧伝している。しかし、どんなに外見を取り繕っても、共和国に対する悪宣伝を業とするNK NEWSの敵対的な性格は変わらない。そのため、朝鮮問題を扱う良心的な記者や研究者、専門家は「信用度の低いサイトに依存して学術研究や報道活動が行われる状況が懸念される」として、NK NEWSの不法な著作物の無断転載行為を阻止すべきだと声を上げている。
恥知らずな行為
KCNA WATCHに自社の著作物が無断転載されている事実を7月に確認した朝鮮新報社は、NK NEWSの親会社であるKorea Risk Groupに対し、無断転載の即時中止と謝罪、賠償を求める通知書を送った。同社は、著作権者の正当な要求にきちんと応じなかった。朝鮮新報の記事、写真はKCNA WATCHのサイトからこっそり削除された。著作物の無断転載について、同社は「ソフトウェア開発のエラーによる意図しないミス」と言い訳した。
NK NEWSによる著作権侵害は、共和国と総聯の報道機関に限ったことではない。
朝鮮新報の取材によると、株式会社コリアメディアもNK NEWSの著作権侵害の対象になったことが確認された。
株式会社コリアメディアは、著作権者の委任により、共和国の新聞、雑誌の著作権管理を担当する法人企業だ。コリアメディアは、著作権者の委任のもと、労働新聞をはじめとする各種新聞や定期刊行物をデータベース化し、自社が管理するサーバーで契約者を対象に有料閲覧サービスを提供している。
コリアメディア関係者によると、この会社の契約先は世界各国の報道機関、大学図書館、研究機関などで、著作物の閲覧範囲は契約した該当単位に限定されている。ところが、NK NEWSでは、コリアメディアが管理する新聞、雑誌67種、約60万件を超えるデータが無断で公開されていた。契約者でないNK NEWSが、コリアメディアの管理下にある著作物を収集することは、通常のアプローチでは不可能だ。
Korea Risk Groupは、コリアメディアの管理下にある著作物に対する違法取得とデータベース化、その公開に対するコリアメディアの抗議に対して、「自動的なデータ収集プログラムを活用する中で起きたミス」と弁解したという。
最後まで追及されるべき
KCNA WATCHで行われた著作物の無断転載は、著作権に対する侵害行為、厳然たる違法行為であり、絶対に許されない。
現在、朝鮮新報の記事と写真、コリアメディアの管理下にある著作物はKCNA WATCHから削除されているが、労働新聞と朝鮮中央通信、朝鮮中央テレビをはじめとする共和国の著作物は今も無断転載され、反共和国宣伝媒体の運営に利用されている。
KCNA WATCHのリストにある共和国の新聞、通信、放送と出版物は、インターネット上で無料公開され、衛星放送を通じて全世界に配信されているが、それらはすべて著作権が存在する著作物であり、したがって第三者の無断転載が許される理由はない。著作権法に精通する弁護士、専門家は、インターネットサイトの内容を無断で転載し、それを商業的利益のために活用することは、常識を超えた著作権の侵害であり、違法行為であると指摘している。
NK NEWSの罪行は最後まで追及されるべきだ。どんな偽装術を使っても、著作権侵害の違法性とフェイクニュース発信者の正体は隠せない。
(朝鮮新報)