茨城初中高で「同胞大運動会」／創立60周年記念事業の第1弾
2013年06月03日 15:47 民族教育生徒たちの姿に力沸き
生徒たちの元気な姿が、訪れた同胞たちに力を与えた。
茨城朝鮮初中高級学校で2日、同校の創立60周年を記念した「第14回同胞大運動会」（主催＝実効委）が行われた。現在、創立60周年を盛大に迎えるべく各種の記念事業にあたっている同校。その最初の企画となる「同胞大運動会」には、学区内にある北関東・東北の朝鮮学校生徒、同胞ら600余人が集い、大いに盛り上がった。
晴天のもとで笑顔
「第14回同胞大運動会」では、紅組が勝利を収めた。
連日の曇り空が嘘のような晴天のもとで行われた、今年の大運動会。例年より多くの同胞たちが集い、一段と賑やかな雰囲気に包まれた。
もとは学校単独の行事として行われてきた同校の運動会は、1990年から「同胞参加型」に発展。この日は、リレーや綱引きなどの恒例種目はもちろん、学校創立60周年に際し初めて企画されたものまで22個の競技が並んだ。生徒、同胞たちからは、終始、笑顔が弾けていた。
孫娘たちの姿を見るために駆けつけたという徐錫栄さん（82、1世）は、全校生徒たちによる集団体操が印象的だったと言う。60年以上、茨城県下に暮らしてきた徐さんは、「昔、（校舎建設のため）同胞たちが集って、地を削り、自らの手で学校を建てたことを思い出す」と話しながら、「子どもたちの踊ったり走ったりする姿を見ると元気が沸く」と笑顔を浮かべた。
運動会では、生徒、同胞たちが共に踊りを踊り楽しいひと時を過ごした。
生徒たちが披露した集団体操は、「わたしたちの揺りかご、輝く一番星（우리 요람, 빛나는 새별）」と名づけられた。そこには、この地で60年間にわたり民族教育と朝鮮学校を守り続けてきた先代に対する感謝と、それを変わらず受け継いでいこうとする生徒たちの想いが込めらた。
金璃玉さん（高3）は、学校創立60周年を迎えて行われる各種の記念行事は「自分たちのためのもではなく、これまで支えてくれた先代や同胞に感謝し、彼らの努力をわたしたちが未来に繋げるためのきっかけだと思っている」と話す。「『高校無償化問題』と関連した抗議活動などを通じて、先代がどういった思いで学校を守ってきたかを想像した。彼らの原動力は、きっと常にわたしたち朝鮮学校生徒たちの存在だったと想う。運動会だけじゃなくて、日々の頑張る姿で恩返しできれば」と語った。
記念事業を推進
「同胞大運動会」の実行委員長を務めた茨城県青商会・民族教育支援委員会の崔明智委員長（37、37期卒業）は、参加者に向け「今日の運動会を学校創立60周年を輝かせる、ひとつの大きなきっかけにしよう」と呼びかけた。
「ヨンチギ！ ヨンチャ！」のかけ声に合わせて思い切り綱を引く生徒たち。
茨城初中高では現在、創立60周年を記念した年間事業を進めている。今年4月に発足した60周年事業実行委員会は、同校教育会の李忠烈会長（44、30期卒業）を委員長に、学校と総聯、女性同盟、朝青、青商会など地域の各団体関係者、卒業生たちで構成されている。また、各企画ごとに実行委員、準備委員が組まれている。
「同胞大運動会」は、年間企画の第1弾。この間、崔委員長を中心に動員活動などの各準備に励んできた。そのかいあって運動会には、卒業生や久しぶりに同校を訪ねたという同胞たちの姿も多かった。関係者によると、とくに若い世代の姿が目立ったという。
呉枢玲さん（19、59期卒業、朝鮮大学校文学歴史学部1年）は、同級生や後輩たちに会いたくて足を運んだという。今年3月まで実家のある青森県を離れ、茨城初中高の寄宿舎で生活していた呉さん。「人数が少ない中でも頑張っている後輩たちの姿に元気づけられた。わたしも母校の創立60周年を広く卒業生たちにアピールするだけでなく、学校に直接足を運んでサポートしたい」と語っていた。
同胞たちによる地域対抗リレー。白熱した戦いとなった。
60周年実行委の李忠烈委員長は、運動会が盛況の中で行われたとしながら、「茨城初中高は広く北関東・東北から生徒たちを受け入れる学校だ。朝鮮学校をとりまく情勢が厳しい中、同校が70周年、ひいては100周年を迎えられるようにするには、今、何をすべきか。60周年事業を通じて、卒業生や同胞たちの学校への関心をいっそう喚起していくべきだと思っている」と語った。
茨城初中高では60周年に際した様々な活動の中でも、10月に行われる記念祝典、初となる大規模な連合同窓会に重点を置いている。
年間を通じた活動や行事を通じて、各県の卒業生や同胞に行事参加を呼びかけていく予定だ。
（周未來）
■茨城初中高創立60周年関連行事
- 9月 「茨城初中高チャリティーゴルフ」
- 10月13日 「学校創立60周年記念大式典」「連合大同窓会」
- 11月3日 「ウリハッキョバザー2013」
