国連人種差別撤廃委、日本政府に書簡
2024年07月10日 14:00 社会を知る~今週のnewsトピック~ 連載日本社会や在日同胞を取り巻くニューストピックを週に一度、紹介する。
国連人種差別撤廃委、日本政府に書簡
国連人種差別撤廃委員会は、永住資格の取消し対象を拡大する条文を盛り込んだ入管難民法改正案(2024年6月14日に可決成立)に対して、24年6月25日付で日本政府に対し、書簡を送付した。各紙が報じた。
東京新聞によると、改正入管難民法は、永住者が税金や社会保険料の滞納をした場合などに永住資格を取り消すことができるとしており、当事者の外国人や支援団体からは過剰な制裁との批判が出ているという。
書簡ではこうした点を指摘したうえで、今回の法改正が「日本に居住する永住権を持つ人々の人権に差別的な影響を及ぼすことへの懸念」を示した。また、「市民ではない人々に対する差別に関する一般的勧告」を踏まえ、「法律の施行が市民ではない人々に対し、差別的影響を及ぼさないこと」、「国外退去命令が出た場合に、当事者が異議を申し立てられる権利を持ち、実際にそのための救済措置を利用できるようにすること」などを日本政府に要求した。
同委員会はさらに、日本政府に対し、永住権を持つ人々の人権確保のための措置や、法律の廃止や見直しをする予定があるかなどを8月2日までに報告するよう求めた。
外国ルーツ対象に初の「全国」調査
米カリフォルニア大の下地ローレンス吉孝客員研究員らが、日本人と外国人の間に生まれるなど複数の民族や人権にルーツがある人を対象に初の「全国」調査を実施した。調査の結果、「日本語上手ですね」と言われるなど、偏見や無理解を背景にした小さな攻撃「マイクロアグレッション」を98%が経験し、68%がいじめや差別に遭ったと回答した。調査は3~4月、オンラインで実施され、有効回答数は448だった。
研究員らは、差別やいじめの経験が心身へ大きな負担となっており、日本での就職や学業達成においても具体的な問題が生じているとしながら、将来的に増加するこれらの人々について、日本社会全体がしっかりとその実態を知ること、そして差別の実態とメンタルヘルスの状況の関連性を把握するための実態調査を実施することは、喫緊の課題であり、少しでもこの現実を変えるための一助となるよう、アンケート調査委員会を設立し、調査を実施したという。
今回の調査を踏まえた提言では、「人種差別や民族差別に限らず差別には人間意識の中に避けようがなくあるのが前提という認識が必要だ」として、国・政府、医療機関などの一員として広く市民にかかわる人々が人権差別撲滅の徹底に努める必要性を強調した。
仏総選挙、左派が最大勢力に
7日投開票されたフランス国民議会(下院、577議席)総選挙の決選投票は、事前の予想に反して野党の左派連合「新人民戦線(NFP)」が極右政党「国民連合(RN)」を抑えて最大勢力になった。
仏内務省の最終確定結果と仏紙ルモンドの集計によると、左派連合は下院で182議席を獲得。一方の与党連合は168議席で、解散前の250議席から大幅に議席を減らした。RNと右派の共闘勢力は143議席を獲得した。