〈世界は今 –在日外国人活動家の視点–(下)〉ジョセフ・エサティエさん
2024年06月25日 13:06 時事帝国主義の罪、戦争の嘘に目を
激動する国際情勢の中、米国と西側の覇権戦略に反対し、反戦平和を訴える活動が日本でも繰り広げられている。外国人活動家たちの声を紹介する本連載の2回目は、反戦NPO団体「ワールド・ビヨンド・ウォー」(WBW)日本支部長を務める在日米国人、ジョセフ・エサティエさんに米国の戦争政策、東アジア情勢などについて語ってもらった。
Q. ウクライナ問題が善悪二元論で語られ、ウクライナとその戦いを支える国々を「善」、ロシアを「悪」とみなす風潮がある。同問題を考えるうえで重要な視点とは。
ロシアがウクライナに侵攻した原因はNATOの東方拡大政策であり、ネオナチに支配されたウクライナによるロシア語話者に対する圧殺政策にある。プーチン大統領は過去の演説でこれらの内容について具体的に述べている。プーチンが明かしているように、1990年代初めに米国のベーカー国務長官はソ連のゴルバチョフ書記長に対して「NATO軍の管轄は1インチも東に拡大しない」と約束した。プーチンの主張の一部は真実であり妥当だ。一方、ウクライナのゼレンスキーの主張のいくつかは間違っている。私たちは何が嘘で、何が真実なのかを見極めなければならない。
戦争は嘘によって始まる。過去にもベトナム戦争の引き金となったトンキン湾事件、湾岸戦争時の「ナイラ証言」、イラク戦争の口実となったフセイン政権による大量破壊兵器の保有説など、数々の戦争が嘘によって引き起こされた。世界中の人々を嘘で導くマスメディアと、裏で糸を引く政治家と軍需産業。この構図はロシア・ウクライナ事態にも当てはまるだろう。