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第16回セッピョル学園/思う存分学んだ3日間

2024年06月23日 07:37 民族教育

集団生活だからできること

14~16日にかけて茨城初中高で行われた第16回「セッピョル学園」。普段とは違った集団生活を通して、楽しく学び、友情を育んだ児童・生徒たち、そして学園成功のために奮闘した青商会、教職員、学校関係者たちは、期間中、民族教育の明日に繋がる貴重な時間を共にした。

かけがえのないの学び

セッピョル学園は、普段少人数で学校生活を送る朝鮮学校の児童・生徒らが集団生活を通して、一つの大きな学校に通っているという誇りを持たせたいとの思いが込められている。

子どもたちの笑顔のために、青商会やオモニ会、学校関係者らは試行錯誤の末、今年はキッチンカーを呼んだ「セッピョル屋台」や学園始まって以来、初めての試みとなる「セッピョル遠足」など特別企画を催した。

図工の授業を受ける初6

このような、特別イベントと同時に、日常生活同様の授業、クラブ活動、クラス会なども行われ校内では至って普通な児童・生徒たちの生活を垣間見ることができた。

とりわけ、セッピョル学園の際は、大人数という環境をふんだんに活かした工夫が施された。普段2、3人で過ごす児童・生徒たちが、いつもの倍以上になる人数のクラスの中で、クラス委員に選出されたり、クラスの目標を全員が達成できるように話し合ったり、普段味わえない経験を共にした。

教種別で行われる朝の会でも上級学年が予定の伝達や、注意事項の伝達、ウリマル学習などを行い集団生活らしい光景が窺えた。

一方、教員たちは、合同授業を通じて、児童生徒たちに、より多くの学びをもたらすそうと、事前に授業の計画を練り進度を合わせてセッピョル学園に参加する。2日目に行われた授業では、グループワークに重きを置いた活動や、1人や2人ではできない演劇や対話文の発表、他者との違いを楽しみ尊重しあう図工や音楽の授業など様々な授業が行われた。

初5保健体育の授業での一コマ

初級部5年生たちは、「安心できる身体の距離、心の距離」というテーマで保健体育の特別授業を受けた。

授業を参観した保護者は「セッピョル学園では、一定の人数でクラスを作れるので、こうした機会に思春期を迎える子どもたちに合った授業を行ってくれてありがたい」と語った。

その他にも、中級部では国語や社会、朝鮮地理などの授業が、高級部では、同胞弁護士による座談会が行われ、「学園」という名の通り特別イベントだけでなく、しっかりとした学びの場が提供された。

生活を通しての成長

今年も、クラス別に歌を披露するセッピョル学園恒例行事、「セッピョルのど自慢」が行われた。同企画は、児童・生徒たちの団結力が一番に表れる。児童・生徒たちは、学園中の様々な隙間時間を活用し、練習に励み、高学年以上のクラスではクラス委員らが意見をまとめ話し合い選曲していた。また低学年生も歌の最中の振り付けなど仲良く決めあった。

一生懸命歌を歌う初級部1年生の児童たち

期間中に一番楽しかったイベントは「セッピョルのど自慢」だと話した李潤昊さん(群馬初中・初3)は、「みんなと大きな声で歌えてよかった。練習中からずっと楽しかった。特にみんなで3番の歌詞を考えたのが楽しかった」と嬉しげに話した。

編入班の朴智惺さんも(小5)「クラスのみんなと朝鮮語で歌を歌えて楽しかった」と感想を述べた。

日常生活の中で、みんなで一つのことを成し遂げる喜びや積極性、またある時は、他者の意見を聞き入れる協調性などを育む大切な場となっているセッピョル学園。

学園を訪れた廉賢大さん(45)は、「些細なことだが、嫌いな食べ物も、友だちが食べているという理由だけで、好き嫌いせず食べられたというわが子の話を聞いて、セッピョル学園は同級生とのふれあいの中で学びや成長がたくさんあると感じた」と笑みを浮かべた。

そしてセッピョル学園では、医療班も設けられ、体調のすぐれない参加者を対処したほか、参加者全員のアレルギーチェックを行い、食事担当の茨城初中高のオモニ会と連携を取った。またこの医療班には、セッピョル学園卒園生で看護師の李珠仙さんもこの日のために東京から駆け付けた。

2泊3日寝食を共にした

オモニ会の周英舜会長(46)は3日間を振り返り「誰一人として、アレルギーの発症など起こることがなくて、ほっとしている。毎度作った200食分の料理を完食してくれたことが何よりも嬉しい。子どもたちがたくさん食べ、思い切り学び、そしてぐっすり眠る。この子どもらしい姿を近くで見守れることはセッピョル学園の手伝いの醍醐味だ」と述べた。

茨城県青商会の金才皓幹事長は、編入班の新設の意義を話しながら「青商会学園で準正規教育の入り口に立った児童たちが今回のセッピョル学園を経てインターネットウリマル教室『ナルゲ』や各地の児童教室などの民族教育と繋がり、今後、朝鮮学校への編入へと続いてほしい」と語った。

慶光浩学園長(茨城県青商会・会長)は各地方から集まった青商会メンバーらに親睦会の場で「これからも、児童・生徒らのためにセッピョル学区の青商会が積極的に活動し、同時に中央青商会との連帯を図り、多くの児童・生徒が朝鮮学校で学べるよう力を尽くそう。来年は、青商会メンバーがこれまで以上に、この場に集まりセッピョル学園を引き続き、盛り上げていこう」と話した。

16回目のセッピョル学園は編入班の新設により、新たな光を照らし民族教育を守ろうという青商会と教職員、学校関係者らの情熱と努力により成功裏に幕を閉じた。

(李紗蘭)

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