〈本の紹介〉表現の不自由展からの挑戦~消されたアートと対話する12 のヒント
2024年06月03日 10:13 社会展示中止事件の教訓と経験を収録
『表現の不自由展からの挑戦~消されたアートと対話する12 のヒント』(初版5月15日発行)が梨の木舎より刊行された。
「表現の不自由展」は15年に都内の民間ギャラリーで始まり、日本各地と外国でも開催されてきた。しかし19年、「あいちトリエンナーレ2019」での「表現の不自由展・その後」は、実行委員会および出展作家らとの協議も合意もないまま、開幕3日で一方的に中止された。理由は、日本軍性奴隷制被害者として名乗り出て平和を訴え続けたハルモニたちを表現した「平和の少女像」の展示であった。
それから3年後の2022年4月に東京展が無事開催された。
本書は、この成功をふまえて、「その経験・教訓や残された課題について市民の皆さんと共有したいと考え企画したもの」(まえがき)である。
編集委員は、表現の不自由展実行委員、弁護士として展示会にかかわった6人。
本書は3部構成となっており、第1部では、表現の不自由展に向けられている疑問について、Q&A形式で12の項目に分け読みやすくまとめている。ここには、「理不尽な攻撃でイベント開催に苦労されている方たちに手がかりになるように」との編者の思いが込められている。
第2部では、21年の延期から22年の東京展開催に至るまでの記録と参加者それぞれの思いを記している。
第3部では、憲法学者・右崎正博さんのロングインタビューを収録。憲法学者の視点からこの事件を振り返っている。
(朝鮮新報)