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「浮島丸」事件の乗船者名簿、厚生労働省が初の開示

2024年05月29日 11:42 社会を知る~今週のnewsトピック~ 連載

日本社会や在日同胞を取り巻くニューストピックを週に一度、紹介する。

「浮島丸」事件の乗船者名簿、厚生労働省が初の開示

朝鮮人労働者とその家族ら約3700人を乗せた旧海軍輸送船「浮島丸」が1945年8月、舞鶴湾下佐波賀沖(京都)で突如、爆沈した。

23日、「浮島丸」事件と呼ばれるこの事件について、日本政府が当時の乗船者の大半が記された名簿を保有していたことが分かった。事件後、乗船者名簿が開示されたのは初のこと。ジャーナリストの布施祐仁さんによる情報公開請求を受け、厚生労働省が開示した。

日本政府は事件当時から今日に至るまで、「浮島丸」事件の真相調査を一切行っていない。そのため、爆発原因や乗船者数、死亡者数などの詳細は不明のままであり、事件の犠牲となった朝鮮人らの遺骨(「浮島丸」事件犠牲者280体を含む朝鮮人軍人、軍属の遺骨700体。本籍は北部425体、南部275体)の故郷への返還事業も滞った状態にあった。また、90年代に犠牲者遺族による訴訟を受けた際には、乗船者名簿は「存在しない」と説明していた。

布施さんによると、厚生労働省が開示したのは「乗船名簿」(大湊海軍施設部作成)と「浮島丸乗船朝鮮人名簿」(日本通軍大湊支店作成)の2点。3月中旬に開示されたこれらの他にも、海軍三沢飛行場や日本通運以外の企業で働いていた朝鮮人の乗船者名簿も存在することが確認されているという。

日本政府には、事件の真相究明に対する責任が問われ、過去に「ない」とした乗船者名簿を保有していたことなどについて説明が求められる。

「教育就労」法案は「外国人使い捨て」の声

28日に、参院法務委員会で実質審議入りした入管難民法と技能実習適正化法の改正案。目下、同案の問題点について指摘する声があがり続けている。

現行の外国人技能実習制度に関しては、長時間、低賃金労働をはじめ、外国人労働者たちをとりまく労働環境や人権侵害などの問題点が浮き彫りとなっている。

一方で、同制度の代わりとして新たに創設される「育成就労」制度だが、職場を移す「転籍」や技能実習生が渡日に際し母国の送り出し機関に支払う手数料負担に伴う「借金」の問題について大きな改善は見られず、永住権取り消しの対象範囲も大幅に拡大された。

有識者は「一連の法案の根底に、『外国人使い捨て』の発想がある」「当事者である永住者や外国人労働の現場関係者からもヒアリングをし、真の解決策を追求すべきだ」などと指摘する。

また、当事者は「いつ家族がばらばらになってしまうか心配。会社でも『下』にみられてしまう」と不安を声にしている。

審議を経た後、国会で成立する見通しの「育成就労」制度だが、有識者や当事者たちから反対の声はやまない。

ICJ「侵攻停止」命じるもイスラエルが拒絶

国際司法裁判所(ICJ)が24日、イスラエルにガザ地区南部ラファへの攻撃を停止するよう命令した。

これに対し、イスラエル政府は声明でICJによる命令を拒絶し、ラファ中心部の難民キャンプを空爆。これにより、26日には45人、28日には21人が死亡した。ガザ地区の地元当局が報じた。

一連のイスラエルのガザへの残虐な侵攻行為に対し、国際社会からは非難の声が相次いでいる。

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