【インタビュー】「サランの会」事務局長・三木譲さん
2013年04月09日 13:16 民族教育学校支援、継続が大事
「阿佐ヶ谷朝鮮学校サランの会(略称『サランの会』)」は、「阿佐ヶ谷にある東京朝鮮第9初級学校を地域の住民が見守っていこう」と、学校との交流をすすめている日本市民や、元議員が中心となって2011年4月に結成された。東京朝鮮第9初級学校の入学式に来ていた「サランの会」事務局長の三木譲さんに「サランの会」の活動や今後の取り組みなどについて聞いた。
Q. 「サランの会」はこれまでどのような活動をしてきたのか。
A. 最近では、昨年12月にクリスマス会、今年2月に餅つき大会を主催し、その場には教員、保護者、そして6年生から今年度入学予定の子どもまで参加した。イベント当日の楽しむ姿や互いに親睦を深めている姿を見て、嬉しく思い、また今回の入学式で新入生たちに会えるのが楽しみだった。
9月には日本人メンバーたちが特別授業を行った。各学年の生徒たちにけん玉やお手玉など「むかしあそび」を教えたり、理科の授業では電池づくりをした。生徒みんなが目を輝かせながら参加してくれ、教えているこちら側も楽しかった。
また各学期に1回ずつ生徒たちのために給食を作っている。
Q. なぜ給食を始めようとしたのか。
A. 日本の学校で当たり前になっている給食は、同学校では実施されていない。
給食を提供するようになった理由は、忙しい中、子どもたちのために毎日弁当を作ってくれている保護者の負担を少しでも軽くしてあげたいとの思いからであった。
「サランの会」のメンバーも子どもたちと一緒に給食を食べながら交流を深めている。これまでの給食のメニューは、「盛岡冷麺」、「本場インドカレー」、「ビビンバと肉団子スープ」。子どもたちから「おいしかった」と好評だったと聞き、私たちもうれしい。
Q. 財政はかさむと思われるが。
A. 給食を継続するために一口500円の「サランの会・給食基金」を設立した。基金への呼びかけは10月に行われたバザーで行い、多くの参加者から基金が寄せられた。また「サランの会」のイメージカラーであるレモンイエローのスタッフTシャツを作った。教員たちがデザインしたこのTシャツは昨年秋に行われた学校のバザーでお披露目された。その売上金も学校を支援する資金に充てている。
まだまだ私たちの活動を知らない人が多い。現時点での「サランの会」の会員は約120人だが、より多くの人々に私たちの活動を知ってもらおうと、毎学期発刊される「サランの会ニュース」や、リーフレットの配布などを通じて会員を増やしていこうと思っている。
Q. 現在朝鮮学校は難しい状況に置かれているが。
A. 「高校無償化」制度から朝鮮学校を除外するということは、明らかに同じ年頃の日本の高校生や日本社会全体に対してマイナスのイメージを発信している。
子どもたちへの教育は未来に繋がることだ。このままでは朝鮮学校の生徒の未来は暗いままだ。「無償化」制度から朝鮮学校を除外することによって、朝鮮学校に対する偏見が生まれたり、広まったりするのか心配だ。これは明らかに子どもたちに対するいじめである。ひとりの日本人として恥ずかしく、本当に残念に思う。
Q. 今後の取り組みは?
A. 4月20日に「サランの会」第3回総会を行う。活動報告、今年度の方針・予算の提示、役員選出を行い、新入生の保護者に対しても我々の活動を説明する。
杉並でやっているように幼い子どもたちを地域一体となって支えていくことが重要である。
「無償化」問題は日本社会の成熟度の低さが露呈されている。我々はこの問題を国内問題に留めずに、国際社会にメッセージを発信したい。「サランの会」は、これまで学校や地域が積み重ねてきた交流を今後も一日一日大切に、丁寧に積み重ねていきたい。
このような活動を継続していくということが大事だ。
もっと学校について多くの人々に知ってもらえるよう活動していきたい。
私たちはこれからも子どもたちと遊び、オモニ、アボジとわいわい話しながら、新しい交流、新しい取り組みを企画していきたい。
(聞き手=李永徳)