ボクシング日本ウェルター級タイトルマッチ、金樹延選手が制す
2013年03月26日 11:50 スポーツ史上初の「同胞対決」
ボクシング日本ウェルター級タイトルマッチが25日、後楽園ホールで行われ、東北朝鮮初中高級学校(当時)出身で同級王者の金樹延選手(27、角海老宝石ジム、リングネーム=高山樹延、OPBF東洋太平洋同級4位)と、朝鮮大学校出身で同級1位の尹文鉉選手(29、ドリームジム、OPBF同級5位)が対戦。2-1(94-96、97-95、96-94)の判定で、金選手が初防衛に成功した。朝鮮学校出身のプロボクサー同士が日本の頂点を競うのは、今回が初めて。
試合は、序盤から金選手が積極的に詰め寄る展開に。尹選手はカウンターで応戦し、中盤以降は有効的なボディーを決めるが、相手が手数で上回り、僅差の判定で金選手が王座を守った。
試合後、金選手は「練習もいっぱいしてきたし体調も万全だった。内容がどうであれ結果がすべて。今はほっとしている」と語った。また「もっとガンガン攻撃したかったけど、(尹選手が)そうさせてくれなかった。いい経験になったし課題も見えた」と話した。
尹選手は「(敗因は)自分が弱かっただけ。ああすればよかった、こうすればよかったとは思わない。負けは負け。でも試合を終えて、樹延と2人でよかったなと言い合えると思う」と語った。
史上初の「同胞対決」となった試合会場には、両選手の地元同胞をはじめとした応援団500人以上が来場。会場では両選手の応援Tシャツが販売されるなど、さながら「祭り」のような雰囲気となった。
試合中は、両応援席から「スヨン」「ムンヒョン」コールが。また激闘を繰り広げた両選手に会場から、大きな拍手が送られた。
東京中高、朝鮮大学校ボクシング部OBの金正浩さん(33)は、「お互いの実力がぶつかり合った素晴らしい試合だった。歴史的な一戦を目の前にして、鳥肌が立った」としながら「試合は在日同胞のみならず、多くの日本人も声援を送っていた。日本当局の差別政策が激化する中、朝鮮人が日本に存在し堂々と活躍しているんだと見せつけるような試合だった」と話した。
在日本朝鮮人ボクシング協会の梁学哲会長は、日本の頂点を決める戦いを朝鮮学校出身者同士が戦う意義は大きいと指摘しながら、「両選手とも、闘志と技術が練磨された素晴らしい試合内容だった。本タイトルマッチは民族教育の素晴らしさを内外に示すものとなったはず。また各地の朝鮮学校生徒たちに大きな力と可能性を見せた歴史的な一戦だった」と強調した。
(周未來、金淑美記者)