神奈川の朝鮮学校関係者らが補助金支給を要請
2013年02月20日 19:00 民族教育「国際都市名乗る資格ない」
神奈川朝鮮学園の禹載星理事長、神奈川朝鮮中高級学校の姜文錫校長をはじめとする県内の朝鮮学校の教員、保護者、関係者ら12人が19日、県庁を訪れ朝鮮学校への補助金支給を求める要請活動を行った。「朝鮮学園に対する補助金予算不計上扱いに抗議する緊急集会」(18日、神奈川中高)で採択された抗議要請文を、県庁職員へ手渡した。
関係者たちは今回の決定について、神奈川県において長年にわたり培ってきた朝・日友好関係、多文化共生の財産を無駄にする行為としながら、予定通りの補助金支給を訴えた。
席上、禹理事長は、「国際都市を掲げ朝鮮学校とも友好の深い神奈川県がこうした判断をしたことが残念でならない。36年間に渡り継続されてきた補助金が、このような形で打ち切られてしまうのか」と遺憾の意を示しながら、「歴代の知事たちはみな、政治と教育、国と地方(自治体)は別という立場で朝鮮学校を支援してくれた。朝鮮学校の生徒は、将来、朝鮮と日本の国際社会構築の架け橋となる人材。多文化共生に努めてきた神奈川県の風潮が今後、大きく変質することを危惧する」と話した。
川崎朝鮮初級学校教育会の金泰一会長は、「朝鮮学校を潰そうとしているとしか思えない。国際化、多文化共生社会構築において全国の先頭に立つ神奈川県だけは、こうした措置はしないと思っていただけに、とても失望した。60年以上にわたりこの地で受け継がれてきた民族教育は、在日の財産だ。ことの重大さを理解してほしい」と述べた。
横浜朝鮮初級学校の成明美教員(52)は、「多感な時期にいる子どもたちは今回の措置について『これは差別以外の何なのか』と疑問を抱いている。他者への愛情を持って人を育てることがどういうことなのか、いま一度考えてほしい」と訴えた。
神奈川中高と南武朝鮮初級学校に子どもを送る白珠妃さん(43)は、「補助金打ち切りは、あってはならない事態」と強調しながら、「補助金が打ち切られれば、朝鮮学校がどういった結末を迎えるのかわかったうえでの判断か。学校運営、教育環境整備が出来ないようにするということは、すなわち、子どもたちの学ぶ権利が剥奪されているということ。黒岩知事の一言で、そんなことがあっていいのか」と強く主張した。また、「子どもたちは各種の地域交流行事に参加しながら、日本の友だちと相互理解、友好を深めてきた。子どもたちの間に垣根はない。在日朝鮮人だけが迫害される社会なら、神奈川県は国際都市を名乗る資格はない。神奈川県を信じたい」と話した。
南武朝鮮初級学校教育会の李光海会長は、国家全体が、朝鮮学校をいじめているとしか思えない状況。なぜ在日朝鮮人が日本で生活しているのか、我々の存在の経緯を歴史的根本から考えてほしい。問題がどれだけ長期化しても決して諦めない」と主張した。
県庁職員は、要請文と共に、この日話された内容を黒岩知事に伝えると話した。神奈川県内の、朝鮮学園と保護者、同胞、日本市民は今後も継続的な要請活動を行っていく予定だ。
(周未來)