子どもたちの心の成長を/第50回を迎えた学美展
2024年02月20日 14:15 文化 民族教育第50回在日朝鮮学生美術展が神戸展(昨年9月6~10日)を皮切りに各地12カ所で開催されている。1970年の初開催から50回目の節目を迎えた同展は、朝鮮学校に通う児童・生徒たちの等身大の姿を、作品を通じて確認することができる場。授業作品部門と美術部制作部門の部門別審査を経た入選、入賞作品が各地の地方展会場で展示されている。
同展が開催されるきっかけとなったのは68年、朝鮮大学校師範教育学部(現:教育学部)に美術科が設置されたことだった。2年制の同科を卒業した1期生が各地の朝鮮学校で美術教育を行い、その成果を示す場として第1回展が催された。
その後、各地の美術教員をはじめとする関係者たちの努力によって同展は、技術の向上に限らず子どもたちの心の成長を促進させる場へと発展し、児童・生徒たちが表現者として参加するという他に類を見ない展示会となった。
50回目となる今展を迎え、朴一南中央審査委員長は「朝鮮学校の子どもたちの表現を発信できる場を設けてきたことが第一の成果だ」と話す。
また、表現技術の「上手さ」を不問にし、各地で展示することは児童・生徒らが直接、自身の創作物が作品として展示されている光景を目撃し、表現者としての自覚を得ることに繋がると朴委員長はいう。その上で、展示する効果に加えて「その表現を創るまでの過程が心の浄化にも繋がる」と、子どもの成長を促すウリハッキョ美術教育の可能性を強調した。
第1回の応募総数が1153点だったのに対し、今や毎回1万2千点以上の作品が募る同展は、入賞作の他に各巡回展で各地方入選作を含めて展示している。
3月9~10日には、今展最後の巡回展が町田市立国際版画美術館で行われる予定だ。
(高晟州)