ハルモニ描いた映画、各地で上映始まる
2024年02月21日 09:30 社会を知る~今週のnewsトピック~日本社会や在日同胞を取り巻くニューストピックを週に一度、紹介する。
被差別部落の情報掲載、「差別されない権利」の侵害
被差別部落の住宅や施設を無断で撮影し、写真や地名をウェブサイト上に掲載した川崎市の出版社を相手に裁判を起こした原告らが13日、都内で集会を開き、差別禁止法など実効性のある立法措置の必要性を求めた。
報道によると、東京・永田町の国会で行われた集会には、原告や部落解放同盟の関係者らが参加。「差別されない権利」の侵害と司法解決には限界があることなどを訴えた。
これと関連し、昨年11月には大阪府在住の70代男性が、出版社による投稿の削除を求めて大阪地裁へ仮処分を申し立てたほか、同12月に埼玉県在住70代男性と部落解放同盟埼玉県連が、投稿の削除と損害賠償を求めて、さいたま地裁に提訴している。また今年1月24日にも、新潟県在住の70代女性ら3人と部落解放同盟新潟県連が、同出版社などを相手に新潟地裁へ提訴していた。
ハルモニ描いた映画、各地で上映始まる
川崎の在日朝鮮人1世、2世らを主人公にしたドキュメンタリー映画「アリラン ラプソディ~海を越えたハルモニたち~」の上映が今月から各地でスタートした。
映画は、在日朝鮮人2世の金聖雄監督が、20年以上撮り溜めたハルモニたちの姿を収めている。金監督は1999年ごろから川崎市桜本のふれあい館に足を運び、ハルモニたちと交流を重ねた。川崎にまつわる作品は04年に公開された「花はんめ」に続く2作目で、今作ではハルモニら在日朝鮮人が、植民地期から現在まで「たくましく生きざるを得なかった」日本社会の構造的差別にも焦点があてられている。
昨年4月、出演者らを招いた上映会を開催して以降、同6月には京都でも上映会が行われるなど、金監督は全国上映に向けた関係各所への働きかけを推し進めた。
金監督は、22年5月の本紙インタビューで「ハルモニたちが生きてきた人生の尊さが伝わることを願っている。『素敵なおばあちゃんだな』という印象からはじまり、なぜこの人たちが日本にいるのか、なぜこんなにたくましいのか、など、かのじょらの人生の背景に思いを馳せてほしい」と述べたうえで「1つの映画が語れることは多くないが、いわれのない差別と闘い続けながらどっこい生きているハルモニたちの魅力に、たくさんの人が触れてほしい」と思いの丈を語った。
上映情報
東京
- K’s cinema(新宿区)2月17日~3月8日
- CINEMA Chupki TABATA(北区)3月14日~31日
神奈川
- 横浜シネマリン(横浜市中区)3月23日~4月5日 ※初日は出演者、2日目は監督が登壇予定
京都
- 京都シネマ(京都市下京区)3月29日~
大阪
- 第七藝術劇場(大阪市淀川区)3月30日~
兵庫
- 元町映画館(神戸市中央区)4月6日~
軍事大国化進める日本政府、反対署名も
「防衛」の名のもとに軍事大国化が加速している。
今月19日、防衛省が設けた有識者会議の初会合が行われ、日本政府が定めた23年~27年度までの防衛費(43兆円)について、さらなる増額検討が必要だとの意見が交わされた。
一方、日本政府は、今年度の防衛予算案を過去最大の7兆9496億円としており、10年連続で過去最大を更新している。「防衛力の抜本的強化」をうたう岸田政権は、朝鮮や中国の脅威を口実に、ミサイル防衛として1兆2477億円、「反撃能力(敵基地攻撃能力)」を含む長射程ミサイル整備として7340億円を計上している。
22年末、「安保3文書」に、「反撃能力(敵基地攻撃能力)」の保有を明記したのと並行して防衛増税の動きが進んでおり、非難の声は止まない。
NGO・日本平和委員会は、今月9日から26日まで「殺傷武器輸出に道を開く『防衛装備移転三原則』改悪の中止を求めます」とした署名をオン・オフラインで展開している。
岸田文雄内閣総理大臣、木原稔防衛大臣宛ての署名は、昨年末に岸田政権が「防衛装備移転三原則」とその運用指針改定を決定したことに伴い、殺傷武器の輸出を解禁するなど、「安保3文書」にもとづく武器輸出拡大を進めることに反対し行われている。
署名の呼びかけ文(チェンジオルグ署名サイト)には、「武器輸出禁止は2014年まで日本の『国是』であり、1981年には国会決議もされている。その方針を国会にもかけず180度変えるのは、民主主義の否定」だとして、一切の武器輸出禁止を求めている。署名は21日時点で15,890人。
(朝鮮新報)